新春ワイド時代劇 忠臣蔵−決断の時

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作品概要
制作会社 テレビ東京
公開年度 2003年
内蔵助役 中村吉右衛門
評価 3ツ星
役者絵:蟹江敬三

他局の人気ドラマ「鬼平犯科帳」シリーズのレギュラー俳優陣がほとんど出ているという心憎いキャスティングで、鬼平吉右衛門ファンにはうれしい&おもしろい作品。憶測だが堀部弥兵衛には生前の江戸家猫八(放送当時すでに故人)をキャスティングしたかったのでわ?(ちなみに「鬼平」はフジテレビである)

ファンとしては中村吉右衛門が「おかしら」なら、次郎長でも新撰組でも見てみたいものだ。

それで逆に目につくのが、鬼平レギュラー以外のひととおりのキャスティング。ちょっと独特。四十七士の個性的キャラに、私には(お茶に間には?)まったく馴染みのない役者さんばかりを当ててる。やはり予算の関係でしょうか。

そういう傾向、ほかのドラマでもしばしば見受けられるが、なにに変えても主要メンバーだけはおカネかけましょうよ。


画作りは近年の忠臣蔵の中では一番美しい。セットなどがぜいたくで、画面も広く映画サイズっぽく撮っている。


感情の起伏にいちいち音楽がくっついてるのでわかりやすい。


画がきれいだから12時間ドラマなんでDVDは4枚組だけど、どっから引っ張りだしても気分よく観賞できる。


仮名手本忠臣蔵の人気キャラもいっぱい出てきて結構。とはいえ早野勘平の死に方は、歌舞伎のオリジナルのままだとあまりに不憫と考えたのか、斧定九郎のアジトに単身殴り込みをかけるチャンバラにアレンジしている。


10年ほど経過してCSで放送(販売されてるDVDよりこっちを録画したほうが画像がよほど綺麗)をあらためて見てみると、忠臣蔵でやってほしいこと、やっておいたほうが良いことがそつなく盛り込まれ、相当好感度の高い作品。

惜しいのは「おかしみ」がこれっぱかりも無いクソ真面目さ。不破数右衛門だけでも少しコメディリリーフのようにしていたらだいぶ味わいが違っていたのではないか。

そもそも古田脚本は概してユーモア不足なのが明らかな欠点。


さて、ちなみに、東下りの際に垣見五郎兵衛のシーンが無いのは、吉右衛門が「あのエピソードは歌舞伎の勧進帳がオリジナル。わたしは弁慶役者だから遠慮したい。たぶん芝居の際に心が動かない」というようなことを言ったのがきっかけなんだそうです(時代劇専門チャンネルのイベント「時代劇寺子屋シリーズ(1)「親しく学ぼう 忠臣蔵」」にて古田求氏が談話。2009.12.10)。

そこから推測すると、討ち入りシーンに出てくるおとなりさんが「おなじみ」の土屋主税じゃなく松浦候なのも、中村吉右衛門家の当たり役(歌舞伎「松浦の太鼓」はお家芸ベスト10)であるからと考えられる。古田氏が気を利かせたのか、吉右衛門がリクエストをしたのか不明だが、鬼平キャストと言い、播磨屋度と言い、本作品はタイトルに「中村吉右衛門の」とカンムリがついててもいいような特徴がそこかしこにちりばめられております。


余談

2015年7月現在、バラエティに引っ張りだこの(…いやさ。引っ張りだこだった(2022年10月加筆))木下ほうかのWikiに本作の定九郎を演じた記録が未掲載。