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忠臣蔵・OL篇/武士篇

1,172 バイト追加, 2022年1月18日 (火) 00:44
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{{Cinema|制作=劇団青年団|公開=2015|内蔵助=森内美由紀|星=3|頃=}}
平田オリザ脚本。<small>註01(註01)</small>
ディスカッションドラマ(討論劇)。
本作は忠臣蔵でおなじみの大評定=「籠城だ」「切腹だ」で揉め、最終的に討ち入りに落ち着いていくハナシ。鑑賞したのは2015年だが、元になってる脚本は1999年に書かれたそうで、「OL篇」はアメリカでツアーまで行ってる人気作品。
本サイトではタイトルを「OL篇/武士篇」と並べて表記してはいるが、正続ではない別のお芝居。本サイトではタイトルを「OL篇/武士篇」と並べて表記してはいるが、正続ではなく、同じ内容の別のお芝居。
上演時間約60分。上演時間・約60分。(上演時間ギリギリに入ると、演出上、いろいろソンをすることでしょう)
ほとんど同じスクリプトで男の武士にキャスティングしなおしての「武士篇」(別々の日に鑑賞)。武士篇だからと言って、あらためて当時の赤穂城の評定を再現しなおそうとか、そういうものではない。あくまで「OL篇」のキャストを武士に変えたバージョン(だから登場人物の名も田中さん、佐藤さん…。)
セリフの聞こえ方がキャスティングや状況によって変わってくる愉快な実験劇の様相が楽しい。セリフの聞こえ方が、設定やジェンダーや状況によって変わってくる愉快な実験劇の様相が楽しい。
「くすや」が忠臣蔵に偏らない芝居のレビューサイトだったら星の数はもっと多い。「くすや」が、忠臣蔵に偏らない芝居のレビューサイトだったら星の数はもっと多い。
この討論劇は、登場人物の「プライド」や「意気地」といった価値観や、主君への「大恩」や「愛」から盲目的になる武士の感情など、狂信的な武士のありさま(=討論の邪魔)がスクリプトや演出から取り去られているところが特徴。「恥辱をはらす」とか「二君に仕えず」とか、コトバは出てきてもセリフ要素に過ぎず、OL=武士たちが「かっこ良く生きたい(または死にたい)」と渇望する思いはとくに客席にアプローチされないで、理詰めで評定は進む(やりとりの上での感情の起伏とかは、ある)。
もっと具体的に言うと、忠臣蔵ファンにとっては明らかに議論の進行上必要と思われるワードや考え方がスルーされる瞬間、いちいちひっかかるのだ。「そこはもっと膨らまそうよ!」「いやそこ、スルーしないでよ!」といった感じでw。これが5〜10分に1回シャックリのようにひっかかる。<small>(註02)</small>
舞台の設定自体が倒産の憂き目にあった現代社会に置き換えてるわけではなく、彼女たちは「切腹だ」「仕官だ」「幕府」だと普通に'''浅野家の家来として議論する'''ので、こっちはナニ目線でついていったらいいのかも、いささかまごつく。
以上の理由から、初見からまる2年ほど星2つをつけさせていただいてたのだが、あとから思い出すとOL篇だけはどうしても「もう一度見たいな」と、何度もおもしろく思い起こされるので、'''「武士篇」を無かったこととして'''星3つに変更しました。
 
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註01…オリザ先生のお家はもともと赤穂で薬種商を営み、おじいさまの内蔵吉さんや、おとうさまの穂生さんのお名前は、赤穂ゆかりのものである(神戸新聞2020/8/1)。
 
2020年、赤穂のまちづくりの政策アドバイザーに就任。また、2021年開学の[[大石りく|豊岡]]の国際観光芸術専門職大学の学長でもある。
 
 
註02…籠城か、討ち入りか、全員切腹かで揉める際に、どれもやったことがないのでみんなで利点やリスクを話し合うのだが、その際、「以前に備中松山城の城請け取りの経験がある」メンバーがいることに、冒頭で言及しているのに、討論中、一切そこに触れないのが歯がゆい。
 
もっと言うと、討ち入りや再仕官の話をしているときだって、浄瑠璃坂の仇討ちや高田馬場の決闘も、ケースとして持ち出してもいいだろうに、そういうのも無い。討ち入りの難易度を語る上で、吉良邸のある呉服橋のロケーションのハナシをしたっていいはずだ。
 
いたずらに内容を複雑にする危険もあるかもだが、「討論」に欠かせないんじゃないかと思う、経験則やデータが入ってきたら、お芝居はもっと膨らむのじゃないかしらと思いました次第。

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