差分

提供: Kusupedia
移動先: 案内検索

中山安兵衛

2,167 バイト追加, 2015年11月8日 (日) 01:05
編集の要約なし
{{Cinema|制作=新東宝|公開=1951|内蔵助=−−−|星=2|頃=}}
中山安兵衛とは[[堀部安兵衛]]の若い時の名前。有名な高田馬場の仇討ちの映画化のひとつ。の若い時の名前。有名な高田馬場の仇討ちの映画化のひとつだが異色。
ひとなつっこくて愉快な24歳の浪人を50歳くらいの嵐 寛壽郎(アラカン)が愛嬌たっぷりに演じている。
アラカンは無声映画時代のスタアで、セリフ回しの感じなんかはトーキー時代に器用に適応できたとはとてもいい難いが、そのぶっきらぼうな演技がかえってざっかけないかんじが出てて印象は悪くない。(どう見てもおじいさんだが)
長屋に帰ると近所の風邪引いてる子供に飴玉の土産を買ってきてくれたり、近所の後家さんが目をかけてくれたり。こういう様子を見てると人気マンガ、特にちばてつや作品にしばしば見られる、すごく強いのにどっかマヌケでみんなから愛される下町のキャラって、ここら辺が元祖かもですな。前回の日活における敗戦の色が濃くなってきたときに公開されたアラカン安兵衛と、この新東宝の戦後GHQ安兵衛(7年差)には、戦前と戦後でオープニングから如実な相違がある。
おじさん(東野英治郎)が果たし状を受けた仔細を下男から聞いて果たし合い会場に一緒に出向く。(糊売りのばばあに聞いて現場まで走っていくシークエンスも有名だが、このパターンも講談にある)
自分が斬り殺した遺骸を見たり、おじさんを亡くしたり、一度に異体験をしていろいろ物思いにふける安兵衛をよそに世間の評判は大きくなるばかり。両作品ともに[[菅野六郎左衛門|おじさん]](東野英治郎。アラカンとたった5歳違いの叔父甥)に怒られるシーンから始まるのだが、戦中だと「貴様は武士の生命をなんと心得ておるのじゃ。やがて仕える主君のためにお役に立つべきもの」と意見されるのだが、本作だと安さんが「わずかばかりの禄にしばられて上役のご機嫌取りはまっぴらだ!」と言ったことを怒られているが、酔っ払うとおじさんも同じ考えだと豪快に笑ってグッといいかげんになっている。
前半愛嬌のあった安さんがたった1日で人殺しを経験し、'''一人歩きする「英雄・安兵衛像」にじゃっかん苦悩。内面を描くと言うのは斬新'''。ほかにも「◯◯くんだりまで行って200か300の扶持をもらってもはじまるまい」とか「気にすンな気にすンな」など、劇中ではなにかと自由な考えを推奨?している。
で、フワ〜ッと終わっちゃう。
なんだか罪の無い一品だが、戦後GHQの目が光ってる時代背景を考えると、本伝の映画化もままならぬ時代(主君の仇討ちモノが御法度)であり、ヒトの生き死にに対して思いにふける安兵衛像は自然に生まれた感があります。。戦争孤児のありようを意識しているのか、安さんは史実の家庭環境ではなく親の愛情に恵まれなかった身寄りのない設定になっており(おじさんのちぎりを交わした菅野はいるが)、シングルマザーの家系を助けるために神社の飴売りをして働く子供・コウメちゃんにやさしく声をかけ、長屋に帰ると近所の風邪引いてる子供にその飴玉をあげたりする。  やがておなじみの高田馬場のシーンとなるが、おじさんが果たし状を受けた仔細を下男から聞いた安兵衛はふつうに準備して'''果たし合い会場におじさんと一緒に出向く'''。 長屋の連中とわっしょいわっしょいと走っていくシークエンスも有名だが、このパターンも講談にあるっちゃあ、ある。そもそも史実では一緒に出かけているそうである。  さてこの決闘シーンには特徴があり、安兵衛の奮闘もあって見事おじさんは村上をやっつけるが手傷を負ったおじさんもまもなく息を引き取る。この死んでいく過程にゆっくり時間を取ってあり、また累々と遺骸が横たわる馬場に駆けつけた村上兄弟のお父さんが死んだ息子の手を取り泣き崩れ、闘いや死の無常観をあおるBGMがかかる中、安兵衛は呆然と馬場を後にする。そしてこのシーンにタップリと時間をとっている。戦前まではチャンバラ映画で人の死をこうまで重たくリアルに扱った映画は無い(要確認)。 大きくなる評判をよそに安さんは村上家を訪ね、焼香をする。 前半愛嬌のあった安さんがたった1日で人殺しを経験し、苦悩し、悩み、なんだか後悔する。 唐突に居酒屋の女にコクって、フワ〜ッと終わっちゃう。 これまでの「安兵衛映画」をイメージしていると若干の「なんだこりゃ」感が残る。  当時は「チャンバラ禁止令」と言われた占領軍の検閲の厳しさから自粛ムードが高まっていたそうだが、のびのびとチャンバラをやっている。そのかわりに、見たチャンバラを台無しにするかのようなエクスキューズで徹底的に決闘のあとに表現される無常感が安さんを包み込む。 これじゃその後どの面下げて吉良を打ちに行くのか、じゃっかん辻褄に「?」となる。  この戦中戦後のアラカン安兵衛の映画を私は「中山安兵衛 戦争前後」という二部作としたい。  == 戦中のアラカン安兵衛 == * [[ 初祝二刀流「高田馬場前後」改題]](日活)1944

案内メニュー