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東海道四谷怪談

2,621 バイト追加, 2017年5月11日 (木) 10:26
編集の要約なし
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'''忠臣蔵外伝 四谷怪談'''…松竹・1994{{Star|4}}
 
くすや「作品評」でいったん辛い感想を申し上げておりましたが、四谷怪談なベクトルで再見したらまったく感想が替わった。タイトル通りこれは「外伝」なのだ。もりいは間違っておりました。
 
あらためて見るとカルミナ・ブラーナをBGMにしたオープニングタイトルから「深作欣二監督はなにを見せてくれるのだろう」とワクワクさせる。なんせ四谷怪談と忠臣蔵の登場人物が並列にクレジットに載ることないてないので。
 
ダイナミックで躍動的。けっこうな意欲作。画面のすみずみまで気配りが行き届いている。
 
世の中にうしろ向きな態度の伊右衛門の赤貧の少年期も振り返り、伊右衛門の抱える人間不信が大石内蔵助や仲間とのやりとりでどう育っていくのか注目。本作の彼には直助のような「友人」がいない。彼の目の前に立ちはだかる命運を決める数々のチョイスと判断がどのように悪事に行き着くか注目させられる。
 
伊右衛門をクローズアップする効果もあるお岩のプロフィールの変更=「女房にした同じ藩の上司の娘」ではなく「はらませちゃった押しかけ女房のフーゾク嬢」は、かえって略奪愛の吉良家の娘お梅(荻野目慶子の狂女ぶりが素晴らしい)とのコントラストをはっきりさせ、これが脱盟も含め伊右衛門のチョイスの是非を考えさせる具合の良い効果を生んでいる。
 
でまた、やっぱりお岩さんに毒を盛る伊藤家が怨敵・吉良家(高師直)であることって必要だなと思った。伊右衛門が生来の悪にしろ事情がある悪にしろ敵方に寝返るというファクターはキャラクターに一層厚みを与える。
 
ラスト、死んだ脱盟者・伊右衛門の悔いを奇抜に表現するが、鑑賞者はこうした見かけに翻弄されがち。あらためて見てみると意外に四谷怪談のリバンプが成功してると思った。
 
もっと評価されるべき作品と思うと同時に評価されにくいだろうなとも感じる。「忠臣蔵」と「四谷怪談」が両方見る側のベースに無いと存在意義が伝わらない作品。
 
六平直政の宅悦は歴代の中でも高位。失ってしまった渡瀬恒彦の[[堀部安兵衛|安さん]]も大変イキオイがあってうれしい。

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