「珍説忠臣蔵」の版間の差分
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楽しい喜劇映画。というか、すごくあなどれない作品。クオリティは高いし、チャーミングったらありゃしない。音楽喜劇というモダンな構成もしびれる。 | 楽しい喜劇映画。というか、すごくあなどれない作品。クオリティは高いし、チャーミングったらありゃしない。音楽喜劇というモダンな構成もしびれる。 | ||
− | + | このころの喜劇映画ってこんなに水準が高かったのかと感心する。たしかに高度経済成長期にこれをみると古くさく感じたかもだが、今見ると新鮮で、素直に笑える。 | |
ほかの斉藤寅次郎監督の喜劇映画をたくさんはしらないがこの作品は、よりエンターテインメントを意識してる気がする。アメリカあたりのスラップスティックやボードビルをお手本としてるかのような軽妙な演出が目立つ。随所に軽技(かるわざ)的な要素も。 | ほかの斉藤寅次郎監督の喜劇映画をたくさんはしらないがこの作品は、よりエンターテインメントを意識してる気がする。アメリカあたりのスラップスティックやボードビルをお手本としてるかのような軽妙な演出が目立つ。随所に軽技(かるわざ)的な要素も。 | ||
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出演陣は斉藤作品のレギュラー、バンジュン、清川虹子、バタヤン、金語楼、シミキンも。エンタツ・アチャコのしゃべくりも見られる(まもなく仲をたがえて、映画で共演しててもツーショットが見られなくなる)。 | 出演陣は斉藤作品のレギュラー、バンジュン、清川虹子、バタヤン、金語楼、シミキンも。エンタツ・アチャコのしゃべくりも見られる(まもなく仲をたがえて、映画で共演しててもツーショットが見られなくなる)。 | ||
− | + | 討ち入りシーンもすごく楽しい。「忠臣蔵」を形作るための基本がしっかりしてるので四十七士のユニフォームに背番号つけたりするなどの「アソビ」にゆとりを感じる。 | |
[[吉良上野介|吉良]]屋敷で腰元が応戦に出てくるのはこの作品くらい(史実にも女性は雇われてなかったとされる)だが、なんと言うか、どこに音楽的要素を入れて、どこに花(女子)を配したらいい感じに仕上がるか、ちゃんと考えられて構成されてるように見える。 | [[吉良上野介|吉良]]屋敷で腰元が応戦に出てくるのはこの作品くらい(史実にも女性は雇われてなかったとされる)だが、なんと言うか、どこに音楽的要素を入れて、どこに花(女子)を配したらいい感じに仕上がるか、ちゃんと考えられて構成されてるように見える。 | ||
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ともかく、これ見てたら、今の芸人さんたちで喜劇の忠臣蔵やったらどういうふうになるのかなと、見たくなっちゃった。でも、作家も芸人もポテンシャル高いけど、忠臣蔵自体が当時ほどおなじみじゃないぶん、パロディを成立させにくいよなあ。 | ともかく、これ見てたら、今の芸人さんたちで喜劇の忠臣蔵やったらどういうふうになるのかなと、見たくなっちゃった。でも、作家も芸人もポテンシャル高いけど、忠臣蔵自体が当時ほどおなじみじゃないぶん、パロディを成立させにくいよなあ。 | ||
− | + | ともあれ、本作品は見終わったあともう一回見たい、と思う親しみやすさに満ちた映画。 | |
ちなみに、内蔵助を演じているロッパは戦前に自作の『われらが忠臣蔵』という作品で成功し、いろんな演目の舞台や映画で活躍して、約30年後に舞台で倒れたときの出し物が『お笑い忠臣蔵』という作品だったそうである。 | ちなみに、内蔵助を演じているロッパは戦前に自作の『われらが忠臣蔵』という作品で成功し、いろんな演目の舞台や映画で活躍して、約30年後に舞台で倒れたときの出し物が『お笑い忠臣蔵』という作品だったそうである。 |
2016年12月20日 (火) 03:04時点における最新版
作品概要 | |
制作会社 | 新東宝 |
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公開年度 | 1953年 |
内蔵助役 | 古川緑波 |
評価 |
楽しい喜劇映画。というか、すごくあなどれない作品。クオリティは高いし、チャーミングったらありゃしない。音楽喜劇というモダンな構成もしびれる。
このころの喜劇映画ってこんなに水準が高かったのかと感心する。たしかに高度経済成長期にこれをみると古くさく感じたかもだが、今見ると新鮮で、素直に笑える。
ほかの斉藤寅次郎監督の喜劇映画をたくさんはしらないがこの作品は、よりエンターテインメントを意識してる気がする。アメリカあたりのスラップスティックやボードビルをお手本としてるかのような軽妙な演出が目立つ。随所に軽技(かるわざ)的な要素も。
出演陣は斉藤作品のレギュラー、バンジュン、清川虹子、バタヤン、金語楼、シミキンも。エンタツ・アチャコのしゃべくりも見られる(まもなく仲をたがえて、映画で共演しててもツーショットが見られなくなる)。
討ち入りシーンもすごく楽しい。「忠臣蔵」を形作るための基本がしっかりしてるので四十七士のユニフォームに背番号つけたりするなどの「アソビ」にゆとりを感じる。
吉良屋敷で腰元が応戦に出てくるのはこの作品くらい(史実にも女性は雇われてなかったとされる)だが、なんと言うか、どこに音楽的要素を入れて、どこに花(女子)を配したらいい感じに仕上がるか、ちゃんと考えられて構成されてるように見える。
腰元集団にやられた村松喜兵衛(堺俊二…マチャアキのお父さん)を助ける大高源五の救出法が「コラーッ!」って、ただ怒鳴るだけというのもおかしい。みんなキャーッて言って逃げちゃう。
んま、そこをカワイイと見るのか、ギャグとしてアリなのかっていうのは賛否の別れるところでしょうか。全体のモダンな作りから言うと、小林信彦さんが喜びそうなオリジナルギャグがもっと工夫されてるほうがいいのかもでしょうけれども。
ともかく、これ見てたら、今の芸人さんたちで喜劇の忠臣蔵やったらどういうふうになるのかなと、見たくなっちゃった。でも、作家も芸人もポテンシャル高いけど、忠臣蔵自体が当時ほどおなじみじゃないぶん、パロディを成立させにくいよなあ。
ともあれ、本作品は見終わったあともう一回見たい、と思う親しみやすさに満ちた映画。
ちなみに、内蔵助を演じているロッパは戦前に自作の『われらが忠臣蔵』という作品で成功し、いろんな演目の舞台や映画で活躍して、約30年後に舞台で倒れたときの出し物が『お笑い忠臣蔵』という作品だったそうである。
あ、大事なこと忘れてたが、この映画は意外に女優陣がかわいい。