薄桜記
作品概要 | |
制作会社 | 大映 |
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公開年度 | 1959年 |
内蔵助役 | −−− |
評価 |
【はくおうき】
伯父さんの仇討ちに走る中山安兵衛(カツシン)が道すがらバッタリ出会った旗本・丹下典膳(市川雷蔵)と運命の出会いを果たし、その後もろもろの皮肉な運命…
いやもう、この映画はもう、あたしがなんだかんだ言うまでもなく、ちゃんとした良い作品でございまして、忠臣蔵スタンスからよけいなことを言うと、そうとう的外れなレビューになりますれば、気になった方は各々ご購入、またはレンタルなどしてご覧なさればよろしかと存じます。
途中までズ〜〜ッと丹下左膳と安兵衛の話だと勘違いしながら見てたときは、血槍無双みたいな娯楽作品だと思ってたんですが、なんだか「別格」でありました。だってオープニングのテンポとか、娯楽映画的にグイグイ引っ張りこんでくれるんですもの。
そもそも左膳は大岡越前の頃のキャラとされていて、時代もメチャクチャ違うわけでもないし、てっきり「丹下左膳/エピソード1」かと思っちゃったら興奮しちまったものだが、「薄桜記」の作者・五味康祐は連載に先がけて「典膳は赤穂浪士にもっとも恐れられていた刺客だったから、のちに無頼な丹下左膳のモデルにされてしまった」と洒落を言って典膳に実在感を持たせたコメントをしていたそうで、林不忘の「丹下左膳」をモチーフにしていることは間違いないようであります。
あるシーンの殺陣がいいので原作を読みたくなったのだが、それは「一体どう表現するとこういうシーンになるのか」と思ってのことだったが、そのシーンはどうも映画のオリジナルだそうで、さすがビジュアルの専門家のなせる技なのだなと感心しました。
監督も、そして雷蔵もものすごいいきごみで作ったらしいんですね。だからなんというか、ものすごい昇華を遂げたわけですよ。でも映画のプレスに「妖気をはらんだ五味康祐の評判小説」とあるから、やっぱりちょっと読みたい。五味康祐って柴田錬三郎とかわりばんこに「ほんものは誰だ?!」のパネラーで出てた人ですよね。
やー、しかし、あたしは忠臣蔵の外伝に分類分けいたしましたが、「関連作品」に近いかなあ。とにかく、映画としては五つ星です(忠臣蔵ものとしては星四つね)。
忠臣蔵がサブでも、こっちが忠臣蔵スタンスで見ていると、すごくもりあがってるメインの壮絶さや悲しさよりも、やっぱり茶会の日取りがわかったところでグッとくるんですよね。「忠臣蔵モード」って不思議です。ヒイキってこういうことなんですかね。
雷蔵が光り輝いてるが、この翌年、カツシンが「不知火検校」で新しく生まれかわります。
時代劇スペシャル忠臣蔵外伝 薄桜記 丹下典膳と堀部安兵衛~孤高の武士 丹下典膳の生涯〜
同じ原作で1991年秋に杉良太郎を典膳に迎えドラマ化された。
テレビサイズにいいかんじにコンパクトに整理されており、演出にも小技が利いていて杉サマの貫禄も良く、好感が持てる作品。
大映版と違ってドロドロした部分がカットされ、原作にあるのか無いのか、浪人した典膳が大工さんの用心棒になるエピソードなどが加わった上、大映版のあの印象的なラストにも大幅なアレンジが加わっている。
ところでこの当時ってキャスティングに「?」と思うことがしばしばある。安兵衛役の竜雷太はファンだが、なにも当時51歳の彼を安兵衛に当てなくても…。4年後に伯父さんの菅野六郎左衛門を演るヒトですよ。どういう事情なのだか。
NHK BS時代劇 薄桜記
2012夏にNHK BSプレミアムにて放送の11回の連ドラ。
むかし矢頭右衛門七を経験してる山本耕史が30代半ばとなって、彼の丹下典膳を完成させていて良かった。
見ながら幾度も典膳がどこに向かってるのか「生き方」についていろいろ考えさせられた。
むかし早野勘平を経験してる高橋和也の堀部安兵衛はコレまで表現されてきた安兵衛像の中でも相当滑稽な部類に入るくらい軽妙でまっすぐなキャラだが、これもすごくイイ感じに作ってて、典膳とのコントラストをわかりやすくしている。
ちなみに、高橋氏は安兵衛の故郷・新発田のおまつりに参加して、なかなかちゃんとしてる方であるが、高橋氏もこの安兵衛役は楽しかったのではないかな。
脚本のジェームス三木のおかげなのか、内容はすこぶる良かった。
セリフの中には新鮮に「かもねえ」「だよなあ」「それほんと?」とワクッとする箇所が毎回あり、とにかく見てて楽しかった。
主役の典膳が吉良側なので吉良家の場面が多く、上野介もだいぶスマートな粋人にえがかれてるので、義士ファンとしてはいささか分が悪く感じるときがあったが(内匠頭がオードリー春日というのもアレだしw)、それでもジミーは一方に比重が行かないように、双方のキャラをバランスよく魅力たっぷりに整えている。
近年の視聴者は頭が良いので、対立する「言い分」の両方に納得してもらうように構成するのは骨が折れると思います。
決め手はキャラの持つ「哲学」や「価値観」。
最終回はコレをキレイにまとめて幕は下りる。
こういうていねいなドラマは、お茶の間はすごく歓迎でございます。
評判が良かったようで、すぐ地上波の放送が決まった。
※放送当時の忠臣蔵ぶろぐ>>http://blog.kusuya.net/?eid=624