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忠臣蔵・OL篇/武士篇

6 バイト追加, 2021年12月11日 (土) 21:31
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ディスカッションドラマ(討論劇)。
本作は忠臣蔵でおなじみの大評定=「籠城だ」「切腹だ」で揉め、最終的に討ち入りに落ち着いていくハナシ。鑑賞したのは2015年だが元になってる脚本は1999年に書かれたそうで「OL篇」はアメリカでツアーまで行ってる人気作品。本作は忠臣蔵でおなじみの大評定=「籠城だ」「切腹だ」で揉め、最終的に討ち入りに落ち着いていくハナシ。鑑賞したのは2015年だが、元になってる脚本は1999年に書かれたそうで、「OL篇」はアメリカでツアーまで行ってる人気作品。
本サイトではタイトルを「OL篇/武士篇」と並べて表記してはいるが、正続ではない別のお芝居。
刃傷事件勃発時の大評定が、現代のどっかの会社のOLにふりかかったアクシデントかのように表現される「OL篇」。(舞台は社員食堂の一幕)
ほとんど同じスクリプトで男の武士にキャスティングしなおしての「武士篇」(別々の日に鑑賞)。武士篇だからと言ってあらためて当時の赤穂城の評定を再現しなおそうとか、そういうものではない。あくまで「OL篇」のキャストを武士に変えたバージョン(だから登場人物の名も田中さん、佐藤さん…。)ほとんど同じスクリプトで男の武士にキャスティングしなおしての「武士篇」(別々の日に鑑賞)。武士篇だからと言って、あらためて当時の赤穂城の評定を再現しなおそうとか、そういうものではない。あくまで「OL篇」のキャストを武士に変えたバージョン(だから登場人物の名も田中さん、佐藤さん…。)
セリフの聞こえ方がキャスティングや状況によって変わってくる愉快な実験劇の様相が楽しい。
「OL篇」は浅野家の家紋をあしらった陣幕のはられた社員食堂で早駕籠が凶報を知らせに来たところからストーリーは始まり、スーツ姿や制服姿の7人のOLがかしましく揉める。台詞のやりとりが小気味良く、役者さん全員が魅力的。そこで大評定なんだから異様である。「OL篇」は浅野家の家紋をあしらった陣幕のはられた社員食堂で、早駕籠が凶報を知らせに来たところからストーリーは始まり、スーツ姿や制服姿の7人のOLがかしましく揉める。台詞のやりとりが小気味良く、役者さん全員が魅力的。そこで大評定なんだから異様である。
「くすや」が忠臣蔵に偏らない芝居のレビューサイトだったら星の数はもっと多い。
この討論劇は、登場人物の「プライド」や「意気地」といった価値観や、主君への「大恩」や「愛」から盲目的になる武士の感情など、狂信的な武士のありさま(=討論の邪魔)がスクリプトや演出から取り去られているところが特徴。「恥辱をはらす」とか「二君に仕えず」とかセリフ自体は出てくるのだがいたってロジカルに処理され、OL=武士たちが「かっこ良く生きたい(または死にたい)」と渇望する思いはとくに客席にアプローチされないで、理詰めで評定は進む(やりとりの上での感情の起伏とかは、ある)。この討論劇は、登場人物の「プライド」や「意気地」といった価値観や、主君への「大恩」や「愛」から盲目的になる武士の感情など、狂信的な武士のありさま(=討論の邪魔)がスクリプトや演出から取り去られているところが特徴。「恥辱をはらす」とか「二君に仕えず」とか、コトバは出てきてもセリフ要素に過ぎず、OL=武士たちが「かっこ良く生きたい(または死にたい)」と渇望する思いはとくに客席にアプローチされないで、理詰めで評定は進む(やりとりの上での感情の起伏とかは、ある)。
もっと具体的に言うと、忠臣蔵ファンにとっては明らかに議論の進行上必要と思われるワードや考え方がスルーされる瞬間、いちいちひっかかるのだ。「そこはもっと膨らまそうよ!」「いやそこ、スルーしないでよ!」といった感じでw。これが5〜10分に1回シャックリのようにひっかかる。
さて「武士篇」はOLと同じテンションなのに見かけが武士っぽくなってることがハンデになり(?)「OLとサムライというちぐはぐなおかしみ」が無くなったぶん、挽回しようとしたのか、討ち入りを主張するときに「討ち入るの!」と言ってニコ!っとピースサインを出してみるとか、「犬死に」というワードが入る台詞の語尾に「ワンワン」とつけてわざわざふざけてみせたり、急に不要なところで大声を張り上げてバナナを投げたりとか、意味のないオーパーツとかさて「武士篇」はOLと同じテンションなのに、見かけが武士っぽくなってることがハンデになり(?)「OLとサムライというちぐはぐなおかしみ」が無くなったぶん、挽回しようとしたのか、討ち入りを主張するときに「討ち入るの!」と言ってニコ!っとピースサインを出してみるとか、「犬死に」というワードが入る台詞の語尾に「ワンワン」とつけてわざわざふざけてみせたり、急に不要なところで大声を張り上げてバナナを投げたりとか、意味のないオーパーツとか'''わざとらしい'''そういうアレコレが内容を迷走させたように思う。そうして星がもうひとつ減る。
見終わったあとうしろの席のおじさんが奥さんらしき人に「なんでタバコ吸ったりピアスしたりさあ。アレがよくわかんねえんだよなあ」と、もっともなことを言ってたので「どうして武士篇作ったのに、オリジナルじゃなくOL篇の方に寄せてるのか」とオリザさんご本人にうかがったら「デフォルトにOL篇がある。それを10年やってたし、自衛隊篇とか(「戦わないんだから俺たち」みたいなセリフがあったとか)、修学旅行篇とかやった(「フトン並べてやってみたが、あんまり成功しなかったw」)んだけど、ひとまわりして武士篇になった」のだそうで、忠臣蔵ありきというよりOL篇ありきなので、ンじゃしょうがないと思った。(附言見終わったあと、うしろの席のおじさんが隣の奥さんらしき人に「な〜んでタバコ吸ったりピアスしたりさあ。アレがよくわかんねえんだよなあ」と、もっともなことを言ってたので「どうして武士篇作ったのに、オリジナルじゃなくOL篇の方に寄せてるのか」とオリザさんご本人にうかがったら「デフォルトにOL篇がある。それを10年やってたし、自衛隊篇とか(「戦わないんだから俺たち」みたいなセリフがあったとか)、修学旅行篇とかやった(「フトン並べてやってみたが、あんまり成功しなかったw」)んだけど、ひとまわりして武士篇になった」のだそうで、忠臣蔵ありきというよりOL篇ありきなので、ンじゃしょうがないと思った。(附言:「忠臣蔵・キャンパス編」が2021年11月、オリザ先生が学長を務める、芸術文化観光専門職大学で、CATパフォーミングアーツプロジェクト第1回公演として上演。)

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