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時代劇特別企画 忠臣蔵

1,374 バイト追加, 2020年12月27日 (日) 21:54
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とにかくアプローチにさまざまな工夫があって、徹底している。
城明け渡しの際に幕府から下見聞に来た[[荒木十郎右衛門]]らの前に内蔵助がひれふして浅野家再興を嘆願するシークエンスも、ほかのドラマに比べてたけし(あくまでここでのたけしは世界の北野ではなく、ビートたけしであり、役者仕事がいいかげん)の土下座は、ぼったくりバーのチンピラに謝ってるかのようにひじょうに滑稽でなさけなく、赤穂事件のひととおりがバカバカしく見えてくる。らの前に内蔵助がひれふして浅野家再興を嘆願するシークエンスも、ほかのドラマに比べてたけし(あくまでここでのたけしは世界の北野ではなく、'''当時の'''ビートたけしであり、役者仕事が好い加減)の土下座は、ぼったくりバーのチンピラに謝ってるかのようにひじょうに滑稽でなさけなく、赤穂事件のひととおりがバカバカしく見えてくる。
また「[[元禄繚乱]]」などでは内蔵助は「何百石取りの連中が霞のように消えていったのに禄高の低いおまえたちががんばってる姿を見ると身が引きしまるぞ」などと浪士たちにエールを送るのに対して、同じような状況でもたけしは江戸のメンツを見て「なぁんだ。金の無いものばかりではないか…」とぼやく。浪士の原動力が忠誠心なのか食い詰めてのやけくそなのか、異様なリアリティで考えさせられる。
家老が「脇差しは突くものです。それを殿はうちわのように振り回した。発狂したとしか思えない」なんて乱心説を説いたり、ふつうは急進派だなんだとイデオロギーで分けて表現される浪士たちの派閥だがこのドラマでは「たかが十石取りの分際で!」的に身分差別を口に出して言い争いをするし、これまで避けてきた表現や創作が大胆に取り入れられてる。家老が「脇差しは突くものです。それを殿はうちわのように振り回した。発狂したとしか思えない」なんて乱心説を説いたり、ふつうは急進派だなんだとイデオロギーで分けて表現される浪士たちの派閥だがこのドラマでは「たかが十石取りの分際で!」的に身分差別を口に出して言い争いをするし、これまで「かっこいい義士」の表現の邪魔になるから避けてきたような表現や創作がふんだんに&大胆に取り入れられてる。
なにより劇中に犬のフンを踏むシーンなど、「忠臣蔵」にはあり得なかった。(近年ではジェームス三木の「[[忠臣蔵 瑤泉院の陰謀]]」も近いことをやっている)
討ち入りにしても、近年ではたまに見る討ち入りのときに屋根から降り損なって打撲した[[原惣右衛門|義士]]の姿も描かれているし、の姿もすでに描かれているし、[[宝井其角]]はとなりの屋敷から高みの見物をしてるし、討ち入りそのものも「浪士のワンサイド・ゲーム」っぷりを演出している。はとなりの屋敷から高みの見物をしてるし、討ち入りそのものも「浪士のワンサイド・ゲーム&オーバーキル」っぷりで演出している。
キャスティングも手堅い。お笑い芸人のたけしを実力派俳優たちがフォローするように仕事をしている様が、そのままたよりない内蔵助をバックアップする藩士の姿と自然にオーバーラップしている。キャスティングも(良い意味で)手堅い。お笑い芸人のたけしを実力派俳優たちがフォローするように仕事をしている様が、そのままたよりない内蔵助をバックアップする藩士や支援者の姿と自然にオーバーラップしている。
日本って、別にヘッドがしっかりしてなくてもまつり事がなんとかなっちゃう国だから、こういうアレンジも意外と納得がいっちゃう。日本って、別にヘッドがしっかりしてなくてもまつり事がなんとかなっちゃう国だから、こういうアレンジも意外と納得がいっちゃう。(''ちなみに時の総理は海部俊樹。''
当時たけしを起用して話題をさらった「イエスの方舟」「昭和46年・大久保清の犯罪」のスタッフが作ってきた実録ドラマ第3弾に持って来てる本作は、とにかくすごく当時たけしを起用して話題をさらった「イエスの方舟」「昭和46年・大久保清の犯罪」のスタッフが作ってきた実録"事件もの"ドラマの第3弾にこれを持って来てるセンスも面白いし、とにかくすごく'''若いエネルギーを感じる'''忠臣蔵であり、コミカルにもかかわらずギラギラしている。「邪道」「ナンセンス」という見方もできなくはないが、偉大なるワンパターンの映像版「忠臣蔵」に大胆な一石を投じたエポックメイキング的作品。忠臣蔵であり、コミカルにもかかわらずギラギラしている。「邪道」「ナンセンス」という見方もできなくはないが、素直に新鮮さを感じ、偉大なるワンパターンの映像版「忠臣蔵」に大胆な一石を投じたエポックメイキング的作品。(脚本の池端俊策氏は当時44歳の、大人に反抗的な全共闘世代w)
この作品以降、怪作が妙に目につくのは単なる偶然ではなく、明らかに忠臣蔵の作り方に化学反応を起こしているかにも見える。
もっとも特筆すべきは、ラストに'''赤穂城内で楽しく働く家臣達の回想'''が挿入されている点である。
我々が知ってる、ふつう目にする赤穂城内は「大変」な時ばかりである。それがまるでこのラストは映画「火垂るの墓」の餓死した兄妹の霊魂が仲良く楽しそうにしてるシーンのように「我々が知ってる、ふつう目にする赤穂城内は「大変」な時ばかりである。それがまるで本作のラストは映画「火垂るの墓」の餓死した兄妹の霊魂が仲良く楽しそうにしてるシーンのように、または映画「タイタニック」の、ジャックとローズがラストシーンで抱擁するように、「[[元禄赤穂事件|'''アレ''']]さえなければこの人達はこんなに楽しそうだったのに」という、やるせなさを感じる印象深いシーンになっている。さえなければこの人達はこんなに楽しそうだったのに」という、やるせなさを感じる、意味深いシーンになっている。
時代劇ぎらいの人にも、忠臣蔵に詳しい人にもオススメ。
たけしが終始うつむいてボソボソやってる演技のパターンと、セットはでかいがもうひとつ安いかんじなのは残念。 <附言>ある歴女ともだちは「忠臣蔵を持ちだして、重責を課せられた中年サラリーマンの悲哀みたいに描くのが気持ち悪い」とも言っていた。なんだかそれも納得。 作ってる人が全共闘世代であることに加え、時代は命がけでなにかを成し遂げることがかっこ悪いかのようなしらけムード(当時。三無主義とかモラトリアムとかそういう言葉が目立ってたような)であることも注目。 また、'90年代生まれの後輩は、ボソボソした台詞(覚えられないでカンペを読んでる時がある)のたけしの前向きではないようにも取れる演技っぷりに、ドラマとしてのクオリティに疑問を持つものがいた。フライデー襲撃事件からバイク事故の中間あたりにあって、内心荒れていた(憶測)?この時期のたけしの様子を、当時の視聴者は、何歩か譲って温かい目で見守っていたムキもあるのかもしれない。

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