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赤穂浪士 天の巻・地の巻

9,712 バイト追加, 2021年4月20日 (火) 20:46
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{{Cinema| width制作="200px" border="1" cellpadding="4" cellspacing="0" align東映|公開="right"1956| colspan内蔵助="2" align="center" |'''作品概要'''|-! 制作会社| 東映|-! 公開年度| 1956年|-! 内蔵助役| 市川右太衛門|-! 評価| ★★★星=4|頃=}}
でも主役は不良浪人と泥棒。なんだこの変化球は!?とおもったら大佛次郎(おさらぎじろう)という作家の長編小説が原作なんだそうですな。
この作家さんきっかけで「赤穂浪士」という呼び方が一般化したとも言われております。== ビギナーな感想 ==
いわゆる絢爛な東映映画のスタイルの開花前という感じ。
松の廊下はひじょうにスタンダードななりゆきだが、吉良と浅野を強調するために二人以外に現場に誰もおらず、脇差しを抜いたときはかなり遠くから梶川が止めに走ってくるのがおかしかった。冠に「赤穂浪士」とついてるが、でも主役は不良浪人と泥棒。なんだこの変化球は!?とおもったら大佛次郎(おさらぎじろう)という作家の長編小説(1929年)が原作なんだそうですな。
さて浪人と泥棒=堀田隼人(カッコイイ!)と蜘蛛の陣十郎のコンビが際立ったキャラでコントラストも最高なので、どう討ち入り計画に関わってくるのかワクワクしてたら、あろうことかあっさり千坂兵部のスパイとして雇われてしまう。クールな浪人と大泥棒という、せっかくいいかんじに膨らみそうな肩書きは無くなり、ただのおっさんスパイふたり。この作家さんきっかけで「赤穂浪士」という呼び方が一般化したとも言われております。それまで四十七士は講談やなんかで言ってた「赤穂義士」というのが通例だったんだと思います。
堀田の魅力は野心や大志が無く、ただただ太平の世の中を忌み嫌ってるやつなんだからテロ(大石側)のほうに肩入れしたらどうなんだろう(んま、最終的にはそういうかんじなんだが)。
コンビも機能してないし、話が進むにつれ赤穂浪士たちに話のウエイトがかかってくると自然に彼らの出番は少なくなる。もしも演じてる大友柳太郎と進藤栄太郎そのものの魅力が無かったらオハナシ的にはいまいち??いわゆる絢爛な京都東映映画のスタイルの開花前という感じ。  松の廊下はひじょうにスタンダードななりゆきだが、[[吉良上野介|吉良]]と[[浅野内匠頭|内匠頭]]を強調するために二人以外に現場に誰もおらず、脇差しを抜いたときはかなり遠くから[[梶川与惣兵衛|梶川]]が止めに走ってくるのがおかしかった。 さて浪人と泥棒=[[堀田隼人]](カッコイイ!)と[[蜘蛛の陣十郎]]のコンビが際立ったキャラでコントラストも最高なので、どう討ち入り計画に関わってくるのかワクワクしてたら、あろうことかあっさり[[千坂兵部]]のスパイとして雇われてしまう。クールな浪人と大泥棒という、せっかくいいかんじに膨らみそうな肩書きは無くなり、ただのおっさんスパイふたり。 堀田の魅力は野心や大志が無く、ただただ太平の世の中を忌み嫌ってるアナーキストなんだから反政府(大石側)のほうに肩入れしたらどうなんだろう(んま、最終的にはそういうかんじなんだが)。 せっかく個性ある二人なのにそのコントラストは発揮されないし、コンビ機能ももうひとつ。話が進むにつれ赤穂浪士たちに話のウエイトがかかってくると自然に彼らの出番も少なくなる。もしも演じてる大友柳太郎と進藤栄太郎そのものの魅力が無かったらオハナシ的にはいまいち?? 
討ち入りがすごくさっぱりして短い。
 
堀田にはそれらしい終焉が用意され、雇った千坂もなかなか渋いセリフを決めている。
チン(たまにカメラ目線)や子猫がたくさん登場してるのはうれしい作品。[[狆|チン]]や子猫がたくさん登場してるのはうれしい作品。  この映画ではよくわからなかったが、再三映像化される原作「大佛次郎原作:赤穂浪士」にはよっぽど引力があるものとお見受けいたします。   == マニアの感想 ==  上記の感想文は、もりいくすおが忠臣蔵にハマりたて(これを打ってるいまから7年ほど前)に記したもので、当時は大佛次郎の原作も読んでいないし東映時代劇も知らない、はなはだ稚拙なものですが、それでも削除しないのはビギナーの素直な感想としてはアリかな、と自身がマッチポンプ的に面白がったからであります。  さて、本作をあらためて見てみますと、非常に丁寧な作りの、ただしい、品の良い作品で好感度が高い。  東映創立5周年の本作はカラーの忠臣蔵第1号<small>(註01)</small>で、第1号=お初と言えば、「松田正次の東映時代劇(畠剛 著)」を読んで「たしかに!」と膝を叩いたのが、ここで[[大石内蔵助]]を演じる市川右太衛門は十八番の「旗本退屈男」に見るオーバーアクションやメイクを一切取り払って、「これが主税の釣った鯛?ほんとにお前が釣ったのか」なんつって、それは'''事件さえなければひじょうに一般的で平凡なおっさん'''という内蔵助像を作り上げている点で、それはこれまで表現されてきたやり方とは一線を画す「お初」と言えるでしょう。  右太衛門はエッセイの中で「本作は'''在来の忠臣蔵に比べると吉良側や幕府側、また一般側にも出番がある新しい角度で描いてる'''」というようなことを言っていて、この点は松田監督と相談ずくだそう。たしかになるほどそれは、21世紀になってまとめて手当たり次第にDVDで見ていては気づかないところ。 「昔はとにかく字幕(オープニングタイトル)が出ただけで、途端に拍手喝采だったくらい、至極安直に忠臣蔵に陶酔する客ばかりだった。今では、つまらん映画は見るだけソンという合理主義の時代です」<small>(両コメント共に「時代映画No.8」昭和31年新年号)</small>  あらためて時系列に作品リストをさかのぼってみるとなるほどそのとおりで、フィルムに色がついただけでなく本作は時代劇的にも、右太衛門本人にとっても、パラダイムシフトなアプローチの作品とおぼしめす。 (昭和初期のサイレント映画?には本原作を元にした「[[堀田隼人]]」なるスピンオフもあるようだが(千恵プロ1933)大佛作品の「赤穂浪士」を忠臣蔵映画として扱うという点では初めてなこころみ。)  で、クレジットされている脚本の新藤兼人は原作の主要キャラクター堀田隼人たちに重点を置いてホンを書いたが、「忠臣蔵」の大事なところが書けてへん&オールスター映画向きではない。と、大幅にボツにされたとか。(実際は助監督の松村昌治がほとんど書いたらしい。<small>(「大友柳太朗快伝」/「松田正次の東映時代劇」共にワイズ出版)</small>)  何割、進藤さんの働きが残っているかわからないが、原作の内容はひじょうにそつなくコンパクトにまとめられて、講談エピソードもうまく調和している。   新しい新しいと言いながら決してアヴァンギャルドではなく、出来上がりは良い意味で「地味」。松田定次監督的にとってもじっくり撮ったお気に入り作品<small>(「キネマ旬報No.1072」/「松田正次の東映時代劇」ワイズ出版)</small>) であるそうだが、これがそのままビギナーにはおとなしく写ってしまうのだろうなと思った。内匠頭の東千代之介も堀田隼人の大友柳太朗も他作品に比べるとなにか一服盛られてるんじゃないかと思うほどローテンションの抑え気味の演技で、これがプラスに働いて良い結果にはなっているのだが、作品全体に働くものがなしさを生んでいる。  中村錦之介は、それまで「紅孔雀」でヒーローだったのに、本作で打たれっぱなしで脱盟者の小山田庄左衛門となり、ファンが戸惑った<small>(出典:1944年生まれのおともだちの感想)</small>。  そう。それで思い出しましたが、本作はこれまで子供映画路線っぽさもあった東映の新しいアプローチも感じる。  「東下り」は泣ける。最初、堀田隼人でキャスティングされてたという片岡千恵蔵だが、[[立花左近]]で正解!(泣)<small>(註02)</small>   で、やっぱり2時間半ほどにまとめてるので[[蜘蛛の陣十郎]]と堀田隼人が[[千坂兵部]](の役者さんがいま見るとひじょうに良い)の隠密になるところは、原作を知った上であらためて観てみてもあっさりしているし、あれだけキャラを魅力的に描いておきながら後半に出番が少なく、惜しい。  結局、新藤兼人がトライしようとした部分がいじくられたために、堀田たちの出番にひずみを残してしまったのではないか。 ・・・それでも、なんやかやで、星を一個増やしました。(^^)    註01…東映としては同年公開の「日輪」につぐ2作目。カラー作品の黎明期とあって、松田定次監督は洋画家の和田三造(衣笠貞之助監督「地獄門」(53)色彩指導)を迎えて色を見てもらったという。また、衣裳は溝口健二監督作品の衣裳をやった日本画家の甲斐庄 楠音(かいのしょう ただおと)に見てもらっているなど、色の達人の力を借りている。。  註02…青年役には薹が立っているイメージだが、20年ほど前に自社制作の作品「堀田隼人」で、堀田と浅野内匠頭二役を演じている(赤穂市発行「忠臣蔵」第五巻)ので、そのイメージが良かったのかもしれない。<…と、勝手な解釈をしたが、新藤兼人の脚本を手直しした、松村昌弘(当時、助監)さんによると、もともとの新藤版の脚本が、原作に出てくる堀田隼人たちに大きくウエイトが乗っかっていたんで、最初はそういう配役が考えられたんだということだ。<small>(「大友柳太朗快伝」ワイズ出版)</small>   == その後の映像版「赤穂浪士」 == * [[赤穂浪士]](東映)1961 * [[赤穂浪士(NHK)]]1964  * [[赤穂浪士(テレビ朝日)]]1979 * [[開局35周年記念番組 赤穂浪士(テレビ東京)]]1999     <div class="thumb tleft"><div width="240px"><amazon>B0000D8RNE</amazon><amazon>B000V9FS70</amazon></div></div>
[[Category:くすおの忠臣蔵作品評|1956]]

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