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通し狂言 仮名手本忠臣蔵

782 バイト追加, 2024年1月22日 (月)
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 メインライター竹田出雲、サブ並木千柳、連作者三好松洛。一緒に作るのではなく、段ごとに担当してるせいかキャラクターに統一性がないと感じられることもある。(たとえば三段目で古今集の歌で簡潔にセクハラおやじに肘鉄を食らわす才女・顔世御前が、七段目では読むのがはかどらないほど文章がダラダラしているなど)
 「江戸時代当時の大人の事情」で、ストーリー的には赤穂事件だが 「江戸時代当時の大人の事情」で、ストーリー的には、なんとなく赤穂事件だが、'''ほとんどオリジナルエピソードほっとんどオリジナルエピソード'''で、時代設定や'''キャラクターの名前も全部変えてあるキャラクターの名前も、全部変えてある'''。たとえば、主役の名前は[[大石内蔵助|大星由良之助]]など。
 陰陽が一幕ごとに変わりまして絢爛。すさまじいところもあれば、ところどころカワイイ。シモネタも忘れないという「グロテスクで素朴でユーモアをたたへた悪趣味きはまる(三島由紀夫談w)」実に不思議なエンターテインメント。
 ちなみに、タイトルに「忠臣蔵」の三文字が入ってるから、'''この作品が映画やドラマの原作になってると勘違いする人が後を絶たない'''が、ビックリするほど、映画でお馴染みの忠臣蔵劇と関係がない。=「仮名手本」が原作の映像作品は極端に少ない。が、ビックリするほど、映画でお馴染みの忠臣蔵劇と関係がない。=「仮名手本」が原作の映像作品は極端に少ない。(最下段「関連作品」ご参照のこと)
== '''口上人形''' ==
 歌舞伎版「仮名手本」において、いっとう最初に裃姿の人形が登場。 歌舞伎版「仮名手本」において、いっとう最初に裃姿の人形が登場するOverture。
 首を回してエヘンエヘン言いながら主演者の説明をする。わりと悲劇が続く仮名手本なのにめちゃめちゃ愉快。元が人形浄瑠璃だった名残(ちなみに文楽では口上は人間がやる。)。
 勘平の切腹は四段目の殿さまと対象的に無様(ブザマ)で、芝居で視覚的に表現されてるのは血糊だけですが、実際ははらわたも飛び出しているというテイでありますので、そういうふうに見ましょう。
 
 浅葱の着物に血が付いちゃうと取れないってんで、気を使いながら演じるのが大変だそうです。昔は変えを2〜3枚用意したときもあるのだとか。(尾上菊五郎7th談。ステージナタリーのインタビューより)
 
<附言>オンライン上演の「図夢歌舞伎」(2020.7.11)となると、さらにコンプライアンスに気を使い、流血はさらに削られ、血糊を顔につける仕草さえカットされる。
 さてDVDのお軽、女形の中村歌右衛門(6th)さんがご高齢で、妙齢なはずがおばあさんに見えちゃうのがじゃっかんサメた。しかしいろんなお軽を見たがこの人ほど「女性」の線というかデフォルメがすばらしい人はほかに知らない。中村福助さんがご高齢で、「心の目」で見ないことには、妙齢なはずの遊女・お軽がおばあさんに見えちゃうのがじゃっかんサメた。しかしいろんなお軽を見たがこの人ほど「女性」の線というかデフォルメがすばらしい人はほかに知らない。中村福助(9th)のお軽(09顔見世)はその歌右衛門に直接手ほどきを受けてると言うだけに「あ」と思うほど歌右衛門っぽいところがあるが、ひじょうにリーズナブルというか、わかりやすい。なんというか最近の女子のような親近感のあるお軽がいい。ただ演じ方については、「六段目では三段目の腰元の感じで、そして七段目で六段目の世話女房で演じるのがいい」と三代目菊五郎が言ってたとおり、あんまり一力のお勤めが板についてると、六段目で実家とあんなに名残惜しく別れたいきさつとの関連性が怪しくなり哀れさが減る。
 平成20年に白鴎27回忌公演(由良之助=幸四郎(9th)。お軽=芝雀(7th)。平右衛門=染五郎(7th))でライブ見たとき、お軽のひそひそ話を聞くだけ聞いた平右衛門が「こっちの耳は聞こえねえ」と言うなど、小ネタギャグが多かった(<あたしはコレ、ほかで見たことがない。基本的に、お軽と平右衛門の再会シーンはコミカルな滑り出しなので2010年頃はもともとあった「会いたかった会いたかった」という台詞さえAKB48のヒット曲の引用ギャグと捉えられ、クスクス笑う客が少なからず、いた)わりに、ぼろ泣きの出来でした。おかるが不憫で不憫で。歌舞伎のライブって、意識と感情が割と離れてて唐突にワッと泣けてくるんで不思議。理性の方が「あっと、ここで泣くの!?ハイ」て感じでいささかビックリする。歴史が築いた「型」は理屈抜きに日本人のDNAを刺激するようです。
 踊りがいいんで、清元「おかげ参り」という独立した踊りにもなってるとか。 踊りがいいんで、清元「おかげ参り」という独立した踊りにもなっている。NHK総合でときどきかかる。
 前後があってこそ引き立つ段だから、単独じゃ客入りが見込めないんで上演回数が少ないのかと思ってたが、ものの本で加賀山直三氏が「この一段はつまらない。愚作」と一蹴。
 義平の侠気はかっこいいし、ハッピーエンドだし個人的には大好きだが、たしかに九段目までの貫禄の由良助が、「みんながそんなに言うなら、気持ちを試してみるかぁ」というコンセプトでつづら(長持ち)の中に潜んで義平にドッキリをしかけるという趣向はなかなか「浮いてる」かも。人を試して結局謝るという、かっこわるいかんじだし。七段目の孔明的なキャラがブレる。ちなみに国立劇場開場20周年ではつづらから出てこないで後ろの戸を開けて出てきた。 義平の侠気はかっこいいし、ハッピーエンディングだし個人的には大好きだが、たしかに九段目までの貫禄の由良助が、「みんながそんなに言うなら、気持ちを試してみるかぁ」というコンセプトでつづら(長持ち)の中に潜んで義平にドッキリをしかけるという趣向はなかなか「浮いてる」かも。人を試して結局謝るという、かっこわるいかんじだし。七段目の孔明的なキャラがブレる。ちなみに国立劇場開場20周年ではつづらから出てこないで後ろの戸を開けて出てきた。
 そのほかにも離縁した天河屋夫婦の復縁まで世話をするなど、討ち入り直前にしては手の込んだ「よけいなこと」をしすぎで(おかげで上演時間が長い)、たしかに異色作。
== 関連作品 ==
* [[大忠臣蔵]](松竹)映画版・仮名手本忠臣蔵 」(松竹)映画版・仮名手本忠臣蔵 1957 * 「[[假名手本忠臣蔵’61/義士始末記’62|假名手本忠臣蔵]]」(松竹)上記作品の増補改訂版 1961 * 「[[蜷川幸雄の仮名手本忠臣蔵]]」 蜷川幸雄の翻案 1988 * 「[[KANADEHON忠臣蔵]]」(花組芝居)ほぼまんまで面白くした版 2007
* [[假名手本忠臣蔵’61/義士始末記’62|假名手本忠臣蔵Revenge of the 47 Loyal Samurai]](松竹)上記作品の増補改訂版 1961」 (ポートランド州立大学)ほぼまんまで英語にした版 2016

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