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阿呆浪士
,編集の要約なし
これはもう本来ならば忠臣蔵ファンのあたしからすればご法度(正規メンバーではない忠臣蔵)なのであり、あらすじを聴いただけなら決して見に行きたくないのだが(そもそもタイトルからバカにしたイメージを受ける)、フタを開けてみるとひじょうに良く出来たコメディで、「これもアリやな」と思いながら、笑って、泣ける。
義理を捨てて正直に、自由に生きるより、ウソや建前で生きたほうがずっと楽。…早大出てると、30代でこんなこと、書けちゃうんだなあ。あたしが40過ぎて知ったことですわい。
元気なおバカ町人・魚屋の八(はち)が、ひょんなことで赤穂浪士の血判状を手に入れることになった。八がソレを利用して私欲のために赤穂浪士の名を語ったために、最終的に討ち入りにまで行くハメになる。
あと、主人公・八を演じるおかやまはじめ氏<small>(註01)</small>が、いいかんじにピュアで無学なヌケサク(阿呆)を演じており、なんというか映画「拝啓天皇陛下様」的な、対位を生む。が、いいかんじにピュアで無学なヌケサク(阿呆)を演じており、なんというか映画「拝啓天皇陛下様」的な、悲喜劇を生む。
役人と町民とメディアという、いつの時代も相容れないような各畑が、実は赤穂事件でも大きな要素だともあたしは考えておりまして、本作はそうした裏テーマの根幹をじょうずに扱ってるから、ファン的にはご法度を破られてても、違和感が無く楽しめる。
== 2020年再演版 ==
{{Cinema|制作=パルコ|公開=2020|内蔵助=小倉久寛|星=3|頃=}}
さて、どうなるのかな。
おかやまはじめさんも出るということで、それって映画版「レ・ミゼラブル」に舞台でジャン・バルジャン演ってたコルム・ウィルキンソンが司教で出るみたいなことでしょう!?
楽しみですっ!
…ということで観てみたらこれが良かった。
たぶん、やっぱもともと脚本が上出来なのでしょう(意外に、けっこうマンマだった。無い戸を開けるとき「ガラガラ」ってクチで言うのは小劇場ならではと思っていたのに、やっててうれしかった)。戸塚さんのベラベラ喋って台詞が少し流れちゃうようなところも気にならなかったし。玉川奈々福師匠のアウェイ感も我慢出来た(出番はちょっと違うけど、武春さんの作ったものが尊重されていた)笑。
当然かもだが、登場人物に対する注目の仕方や、聞こえてくる台詞などが少し、変わってくるから面白い。
歌や踊りが増えて、キャラや台詞がじゃっかん整理されて(ドブに落ちるキャラ好きだったんだけどなー)、かつらと衣裳もちゃんとして、ポップに仕上がっております。映画音楽が流用されてたオリジナルとは違い、こっちはコマネチやシェー、ヲタ芸の入った振付でテーマ曲(サビが「流水麺はシマダ〜ヤ〜」をハイスピードにした感じのメロディ)が用意されている。(ラストにかかってた「蘇州夜曲」好きだったんだけどなー)
本来なら、赤穂浪士の名を語って初めて注目を浴びるスケベでダメな阿呆な町人役は、ジャニーズのイケメンでは説得力がないはずなのだが、ここは戸塚さんの存在感でクリアしている。
こぢんまりしたホコリまみれのやぶれ畳みたいなオリジナル版もいいけど、コンパクトなスケールのために用意されたパーツが、華やかな絨毯にちゃんと生まれ変わっている。(ちなみに劇場のデザインは昔の芝居小屋みたいなイメージで、2階建て)
そそ。ラスト、貞四郎が死ぬところは、オリジナルでは壮絶なブザマさが光っていたが(BGMに映画「隠し砦の三悪人」のラストの笛のとこ<要確認)、今回はフワッと死んで風の音がかぶる。これはこれでいいな。いやもう、「前と比べてどう」という感じじゃなかった。全体が良かった。
若手で一番良かったのは、「元禄名槍譜」(ダイジェスト)をがんばって歌いこなした戸塚氏にもエールを送りたいが、乃木坂46の伊藤純奈さんが良かった。
ジャニーズはジュニアの時から叩き上げられてるけど、坂道グループでこれだけ出来る人っていうのは才能でしょう?台詞聞き取りやすいし。これからは「乃木坂工事中」も熱心に見ようっと。(欅は好きだし、日向坂は近所なんで、そっちの番組は見てたけど。)