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ザ・カブキ

0 バイト除去, 2008年12月19日 (金) 01:23
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{{Cinema|制作=東京バレエ団|公開=2008|内蔵助=後藤晴雄|星=4|頃=}}

初演は1986年。世界中で公演しているだしもの。

「忠臣蔵が大好き」という故・モーリス・ベジャール振り付けの創作バレエ。かれは内蔵助にヨーロッパの騎士道精神を見ている。忠臣蔵オタクのベジャールはすごくいろんな実験をこの作品の中でやっていた。

あたしはバレエは行ったことが無かったし、徹夜明けだったので、とにかく見てる最中に退屈しやしないか心配していたのだが、どうしてどうして、なんとも素晴らしいひとときでした。

唄やセリフが無いので全編ダンスだけなのだが、[[通し狂言 仮名手本忠臣蔵|仮名手本忠臣蔵]]をまんまバレエ版に再現した見事な作品。踊りだけで苦痛や喜びを伝えるわけだが、だからこそキャラの強調が不可欠で、[[お軽]]なんかはすごくかわいらしく、[[鷺坂伴内]]はかなり印象的に演出されていた。伴内良かったなあ。より明解でわかりやすい。

「まんま」といってももちろん全部やってたらとても1日じゃ終わらないのでいろいろカットするわけだがそこにも腐心の後が見える。切るばかりではなく、一力茶屋と与市兵衛やおかるの関係などは補足する意味で新たに場面が加えられている。切ったりはったり自由にバレエの世界用に変化させているにもかかわらず、五段目はちゃんとイノシシまで登場してこういうところが目が離せない。こだわりが随所にうかがえる。そういう抜け目無いところがとにかくしびれる。

みながら何度も心の中で「おもしれえ!うわ!おもしれえ!」と叫んだ、そして歌舞伎で泣くところはバレエでも泣いた。

新たな演出に、現代の人間と忠臣蔵がオーバーラップするようなところがあるのだが、なんとなくジーザス・クライスト・スーパースターを彷彿とさせた。

討ち入りのダンスは華麗で見事。ヘンな話、ここで眠たくなった。退屈してたんじゃなくて眼前に繰り広げられてる四十七士のうつくしさにほれぼれして夢心地になるのだ。チャンバラは一切無い。討ち取ったあとがまた見事な幕引きだった。

さて、以上ベタボメなんですけれども、これってオリジナルの「仮名手本忠臣蔵」を知らない人にはどう写るのだろうと、ちょと心配した。なにせさっきも言ったようにセリフが無い(各エピソードの冒頭に仮名手本の義太夫が一部流れるがぜったい聞き取れないと思うし、「鯉口ちゃん」って歌詞があっても主税は刀を持ってない)。衣装は現代風にアレンジしてるので始めて見る人にはキャラの区別もむずかしいんではないだろうか。なにしろ仮名手本は登場人物が多い([[桃井若狭助|桃井]]や[[寺坂吉右衛門寺坂]]はカットされてても、である)。

そしたら休憩時間に、うしろの主婦が「ナニが言いたいんだろうと考えながら見てた」と一緒に来てた姑らしき人物にこぼしていた。「なにがいいたいか」とはまた難しい質問である…。お姑氏は言った「歌舞伎の仮名手本忠臣蔵をもとにしてるのよ」「ああそうなんだ」やはりまったくのノンケにはちょっとわかりにくいかもしれない。

それはそれとして、わたしにはブラボーな作品でございました。

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