「赤穂浪士」の版間の差分
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「映画で忠臣蔵」と言ったときはこの作品のビジュアルが思い浮かぶ。そんな'''決定版'''っぽさがある。 | 「映画で忠臣蔵」と言ったときはこの作品のビジュアルが思い浮かぶ。そんな'''決定版'''っぽさがある。 | ||
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劇中のキャラも内蔵助のライバル千坂兵部や、職人のお兄ちゃんのエピソードをふくらませたことで、元来のストーリーにはじゃっかんアレンジが加わっているものの「忠臣蔵」のいいところを保ちつつ、生き生きしてる。で、おそらく肝心の堀田隼人って原作(読んでないので知らないんですが)と違うんじゃないかと思いますが、[[赤穂浪士 天の巻・地の巻|前作]]よりこっちのほうが好きです。 | 劇中のキャラも内蔵助のライバル千坂兵部や、職人のお兄ちゃんのエピソードをふくらませたことで、元来のストーリーにはじゃっかんアレンジが加わっているものの「忠臣蔵」のいいところを保ちつつ、生き生きしてる。で、おそらく肝心の堀田隼人って原作(読んでないので知らないんですが)と違うんじゃないかと思いますが、[[赤穂浪士 天の巻・地の巻|前作]]よりこっちのほうが好きです。 | ||
− | タイトルに反して浪士そのものは[[片岡源五右衛門|ゲンゴ]]と[[堀部安兵衛|安兵衛]]のみしかスポットライトが当たっていない(あえて言うなら、あとは[[大石主税|主税]]) | + | タイトルに反して浪士そのものは[[片岡源五右衛門|ゲンゴ]]と[[堀部安兵衛|安兵衛]]のみしかスポットライトが当たっていない(あえて言うなら、あとは[[大石主税|主税]])。それでもじゅうぶん楽しめる。 |
あたしの役者絵も気づいてみたらこの作品からの抜粋がかなり多いことがあとから判明。 | あたしの役者絵も気づいてみたらこの作品からの抜粋がかなり多いことがあとから判明。 | ||
− | とにかく、近年の忠臣蔵ではあまり物語作りの上で重要視されない(現代人に伝わりにくい)主君と家臣たち(義士たち)の関係性がよく描かれており、彼らのいじらしさやかいがいしさが、ラストの「討ち入り」に、いい振り幅で反映されている。そもそも本作の登場人物は喜怒哀楽がはっきりし、良く喋り、'''どのキャラも「人間っぽい」''' | + | とにかく、近年の忠臣蔵ではあまり物語作りの上で重要視されない(現代人に伝わりにくい)主君と家臣たち(義士たち)の関係性がよく描かれており、彼らのいじらしさやかいがいしさが、ラストの「討ち入り」に、いい振り幅で反映されている。そもそも本作の登場人物は喜怒哀楽がはっきりし、良く喋り、'''どのキャラも「人間っぽい」'''演出がなされている。なので映像は絢爛だが歌舞伎よりも浪花節に籍の近いぬくもりを感じる。 |
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良く喋る一方で一つも台詞のない「ため」=要所要所の「腹芸」も見事!特に田村邸は涙が止まらなかった。 | 良く喋る一方で一つも台詞のない「ため」=要所要所の「腹芸」も見事!特に田村邸は涙が止まらなかった。 |
2009年7月8日 (水) 00:02時点における版
作品概要 | |
制作会社 | 東映 |
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公開年度 | 1961年 |
内蔵助役 | 片岡千恵蔵 |
評価 |
先年の「赤穂浪士 天の巻・地の巻」(と「忠臣蔵 桜花の巻 菊花の巻」)のイイトコ取りのやきなおしだが。それが傑作に仕上がった大作。WEB上で見かけるファンには前作の落ち着いたかんじがイイという人もいるが、かなり「別物」。
同じ原作で同じ監督。堀田隼人の大友柳太朗や吉良上野介の月形龍之介は続投だし、制作意図は?って最初思ったんですが、せっかくのいいネタだし、東映のスタイルが確立したし、創立10周年だからパワーアップしてもう一回やろうよ!というノリだったのかなんなのか、ひじょうに華やかなエンターテインメントに進化している。ビジュアル的に必要な部分にちゃんと金がかかってて豪華だし、日本語わからない人も見てて楽しいんじゃないだろうか。ていうか逆に、日本語がわかっても忠臣蔵ビギナーのほうがキツイ。この作品はかなり「忠臣蔵」が頭に入ってるヒト用に構成されている。そして滑舌の悪い俳優が意外に多いしw。
林家木久扇師匠がよく「フルスロットルの片岡千恵蔵や大河内伝次郎はなにをしゃべってるのかよくわかんない」って言うがほんとうで、こういうとき東映のDVDも字幕が出ればいいのになあと思う。でもDVDって言えばですね、コレ新宿の映画館で「東映時代劇祭」をやってた際にスクリーンでも見ましたが、このころの脂の乗った日本映画は、やはり大画面にかぎりますね。すみずみまで行き届いた色彩構成が見事なのだ。おうちで見るなら30インチ以上のモニターを推奨するものであります。
しかしセリフ自体もよく練られていて(脚本:小國英雄)もあとからアレコレ思い出される印象深いものが多い。
とにかく脚本も音楽も演出、撮影、編集など映像素人が見ても随所に「必要」な作業が申し分なくなされており、プロの映画人の仕事という感じ。
「映画で忠臣蔵」と言ったときはこの作品のビジュアルが思い浮かぶ。そんな決定版っぽさがある。
出てくる俳優陣がどなたも素敵。若い人が見ると初めのうちは片岡知恵蔵と市川歌右衛門の区別が難儀だろうが、とにかく、適材適所の配役が「キャラクター大合戦フェスティバル」という感じでまとまっており甚だ楽しい。看板役者をうんと引き立てて、見せ場をいっぱい楽しめる。
劇中のキャラも内蔵助のライバル千坂兵部や、職人のお兄ちゃんのエピソードをふくらませたことで、元来のストーリーにはじゃっかんアレンジが加わっているものの「忠臣蔵」のいいところを保ちつつ、生き生きしてる。で、おそらく肝心の堀田隼人って原作(読んでないので知らないんですが)と違うんじゃないかと思いますが、前作よりこっちのほうが好きです。
タイトルに反して浪士そのものはゲンゴと安兵衛のみしかスポットライトが当たっていない(あえて言うなら、あとは主税)。それでもじゅうぶん楽しめる。
あたしの役者絵も気づいてみたらこの作品からの抜粋がかなり多いことがあとから判明。
とにかく、近年の忠臣蔵ではあまり物語作りの上で重要視されない(現代人に伝わりにくい)主君と家臣たち(義士たち)の関係性がよく描かれており、彼らのいじらしさやかいがいしさが、ラストの「討ち入り」に、いい振り幅で反映されている。そもそも本作の登場人物は喜怒哀楽がはっきりし、良く喋り、どのキャラも「人間っぽい」演出がなされている。なので映像は絢爛だが歌舞伎よりも浪花節に籍の近いぬくもりを感じる。
良く喋る一方で一つも台詞のない「ため」=要所要所の「腹芸」も見事!特に田村邸は涙が止まらなかった。
DVDのとき気づかなかったんだけど、どう見てもチャンバラトリオの頭(かしら:南方英二)が出てる気がして、帰宅してタイトルロールだけ確認したら出てました〜!!錦之介さんの付き人やってらしたんですね。
当時の差し歯の材質の限界が、萬屋錦之介(役者として本作において八面六臂の活躍をするMVP)の前歯に見て取れる。