「忠すぃん蔵〜ゴリエ外伝〜」の版間の差分
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{{Cinema|制作=フジテレビ|公開=2004|内蔵助=山口智充|星=2|頃=}} | {{Cinema|制作=フジテレビ|公開=2004|内蔵助=山口智充|星=2|頃=}} | ||
− | + | 人気バラエティ番組「ワンナイR&R」の、ゴリエのコーナーで放送されたコントドラマ。 | |
− | + | DVな彼氏・川ちゃん(ガレッジセールの川田)に振り回されるゴリエ(ガレッジセールのゴリ。ダンススキルがすごく、このキャラで紅白まで出ている)が、元禄14年にタイムスリップして、川ちゃんの先祖・堀部川兵衛に出会い親密になるが、彼は気乗りしない討ち入りを中止させるために、ゴリエを暗殺目的に吉良邸に単身、乗り込ませる。が、ゴリエは先方で影武者として逆に雇われて、四十七士に殺される。 | |
('''いつも殺される'''ので、死んだことは翌週のコントでは不問。) | ('''いつも殺される'''ので、死んだことは翌週のコントでは不問。) | ||
− | + | とにかく、おもしろいことを威勢よくやろうという気概がすごく、セットも豪華だし(松の廊下は畳5畳分の横幅だったり、吉良の隠れる炭小屋までしっかり作られている)、ストーリー的にまったく不要な小池栄子(レギュラー)にも大奥のご婦人風の衣装を着せてわざわざ出番を作ったり、大評定の場面では大勢の芸人(アンタッチャブル、アンバランス、イヌがニャーと泣いた日、おぎやはぎ、劇団ひとり、サブミッションズ、ダンディ坂野、なかやまきんに君、ニレンジャー、原口あきまさ、FUJIWARA、ペナルティ、ホリ、ワンダラーズ土井、村上ショージ全員を裃姿にしており、アンタッチャブルや劇団ひとり、モノマネ陣など、ほとんどが映っていない)を用意したりと、とにかく贅沢で、当時の本番組の隆盛を感じる。 | |
− | + | 「[[TAKECHANマン忠臣蔵|オレたちひょうきん族]]」同様、スタッフの用意の中で芸人が縦横無尽にふざけているのは一緒でも、出演陣(ガレッジセールのほか、雨上がり決死隊やぐっさんがレギュラー)の"笑わせスキル"がすごく高く、10年以上経ったいま見ても笑える。 | |
− | + | ただ、雨上がり決死隊のホトちゃん演じる川兵衛の父親が、ゴリエと情事が終わったばかりの息子の部屋に飛び込んできて、刃傷事件を報告するシーンで「殿が!'''浅野殿が江戸城で殿中を起こされたのじゃ'''!」という、ヒドイ言いまちがいのセリフを吐く。 | |
+ | これにすごく引いた。さらにやりとりが以下のように続く…。 | ||
− | + | 「えええっ!…殿中って、なに?」(ここで見せる蛍原とゴリのズッコケは素敵)「殿中だろ殿中。殿中も知らないのか!」「ちょっと川兵衛くん!ヤバイでござるよ!殿中って言ったら去年大ブレイクした芸人、ダンディ坂野!」「(ゲッツ!みたいに)デンチュウ!」(文字に起こすとクソつまらないが、これを動作でやると笑えるものに昇華させるからすごい) | |
− | + | …こんなにはっきり「殿中」というワードに言及してるのに、実際に「殿中」がどういう意味か、ここにいた大人たち全員が'''調べない'''という現場のレベルがお粗末すぎる。「デンチュウ」をなんのことだと思ったのだろう。 | |
+ | (気が進まないけど、説明すると、殿中というのは「場所」のことで、別のことで例えると「師匠が!鶴瓶くんがフジテレビでスタジオ内を起こされたのじゃ!」みたいなこととなる。そう。大恩ある君主を「浅野殿」とは口が裂けても言わないのだが、これは目をつぶる。) | ||
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+ | これを書いてる令和元年現在には、こういう、雰囲気優先の、おおざっぱな笑いの作り方はメディアではまず見受けられない。疑わしいことはそのままにしないですぐその場で誰かがスマホで調べることでしょう。また、昭和時代にもNGが出たはず。こっちはデフォで誰もが意味を知っているはず。 | ||
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+ | このシーン自体はすごく面白くて(基本的には全部面白い)、相対的に見れば「たったひとつのミス」なのだが、ゴリエの身体能力が活かされた討ち入りの殺陣とかも見応えがあり、そういう裏打ちされた出来の良い場面が秀逸なだけに「無知でも構わない」という、部分的な'''こだわりのなさ'''が見逃せないし、引き出しもないのに、与えられた台詞をうろ覚えで本番に臨むこのシーンの出演者全員の、幼稚で雑い姿勢もおおいにシラケる。それで許されてしまう当時の時代背景も、忠臣蔵ファンとしては寂しいものがありました。 | ||
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+ | この番組はいろいろ抗議を受けることがあり、やがて終わってしまうが、そういう、人が不愉快と思うコントを辞さないで堂々とやる強気の態度のもとで「浅野殿が江戸城で殿中を起こされたのじゃ!」がオンエアーになったのかと思うと、言い間違いに可愛げがまったく感じられないのである。 | ||
「殿中を起こされたのじゃ」…って。 | 「殿中を起こされたのじゃ」…って。 |
2019年5月21日 (火) 00:46時点における版
作品概要 | |
制作会社 | フジテレビ |
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公開年度 | 2004年 |
内蔵助役 | 山口智充 |
評価 |
人気バラエティ番組「ワンナイR&R」の、ゴリエのコーナーで放送されたコントドラマ。
DVな彼氏・川ちゃん(ガレッジセールの川田)に振り回されるゴリエ(ガレッジセールのゴリ。ダンススキルがすごく、このキャラで紅白まで出ている)が、元禄14年にタイムスリップして、川ちゃんの先祖・堀部川兵衛に出会い親密になるが、彼は気乗りしない討ち入りを中止させるために、ゴリエを暗殺目的に吉良邸に単身、乗り込ませる。が、ゴリエは先方で影武者として逆に雇われて、四十七士に殺される。
(いつも殺されるので、死んだことは翌週のコントでは不問。)
とにかく、おもしろいことを威勢よくやろうという気概がすごく、セットも豪華だし(松の廊下は畳5畳分の横幅だったり、吉良の隠れる炭小屋までしっかり作られている)、ストーリー的にまったく不要な小池栄子(レギュラー)にも大奥のご婦人風の衣装を着せてわざわざ出番を作ったり、大評定の場面では大勢の芸人(アンタッチャブル、アンバランス、イヌがニャーと泣いた日、おぎやはぎ、劇団ひとり、サブミッションズ、ダンディ坂野、なかやまきんに君、ニレンジャー、原口あきまさ、FUJIWARA、ペナルティ、ホリ、ワンダラーズ土井、村上ショージ全員を裃姿にしており、アンタッチャブルや劇団ひとり、モノマネ陣など、ほとんどが映っていない)を用意したりと、とにかく贅沢で、当時の本番組の隆盛を感じる。
「オレたちひょうきん族」同様、スタッフの用意の中で芸人が縦横無尽にふざけているのは一緒でも、出演陣(ガレッジセールのほか、雨上がり決死隊やぐっさんがレギュラー)の"笑わせスキル"がすごく高く、10年以上経ったいま見ても笑える。
ただ、雨上がり決死隊のホトちゃん演じる川兵衛の父親が、ゴリエと情事が終わったばかりの息子の部屋に飛び込んできて、刃傷事件を報告するシーンで「殿が!浅野殿が江戸城で殿中を起こされたのじゃ!」という、ヒドイ言いまちがいのセリフを吐く。
これにすごく引いた。さらにやりとりが以下のように続く…。
「えええっ!…殿中って、なに?」(ここで見せる蛍原とゴリのズッコケは素敵)「殿中だろ殿中。殿中も知らないのか!」「ちょっと川兵衛くん!ヤバイでござるよ!殿中って言ったら去年大ブレイクした芸人、ダンディ坂野!」「(ゲッツ!みたいに)デンチュウ!」(文字に起こすとクソつまらないが、これを動作でやると笑えるものに昇華させるからすごい)
…こんなにはっきり「殿中」というワードに言及してるのに、実際に「殿中」がどういう意味か、ここにいた大人たち全員が調べないという現場のレベルがお粗末すぎる。「デンチュウ」をなんのことだと思ったのだろう。
(気が進まないけど、説明すると、殿中というのは「場所」のことで、別のことで例えると「師匠が!鶴瓶くんがフジテレビでスタジオ内を起こされたのじゃ!」みたいなこととなる。そう。大恩ある君主を「浅野殿」とは口が裂けても言わないのだが、これは目をつぶる。)
これを書いてる令和元年現在には、こういう、雰囲気優先の、おおざっぱな笑いの作り方はメディアではまず見受けられない。疑わしいことはそのままにしないですぐその場で誰かがスマホで調べることでしょう。また、昭和時代にもNGが出たはず。こっちはデフォで誰もが意味を知っているはず。
このシーン自体はすごく面白くて(基本的には全部面白い)、相対的に見れば「たったひとつのミス」なのだが、ゴリエの身体能力が活かされた討ち入りの殺陣とかも見応えがあり、そういう裏打ちされた出来の良い場面が秀逸なだけに「無知でも構わない」という、部分的なこだわりのなさが見逃せないし、引き出しもないのに、与えられた台詞をうろ覚えで本番に臨むこのシーンの出演者全員の、幼稚で雑い姿勢もおおいにシラケる。それで許されてしまう当時の時代背景も、忠臣蔵ファンとしては寂しいものがありました。
この番組はいろいろ抗議を受けることがあり、やがて終わってしまうが、そういう、人が不愉快と思うコントを辞さないで堂々とやる強気の態度のもとで「浅野殿が江戸城で殿中を起こされたのじゃ!」がオンエアーになったのかと思うと、言い間違いに可愛げがまったく感じられないのである。
「殿中を起こされたのじゃ」…って。