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通し狂言 仮名手本忠臣蔵

2,645 バイト追加, 2026年1月3日 (土)
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 言わずと知れた、赤穂事件を芝居にした名作フィクション。
 メインライター竹田出雲、サブ並木千柳、連作者三好松洛。一緒に作るのではなく、段ごとに担当してるせいかキャラクターに統一性がないと感じられることもある。(たとえば三段目で古今集の歌で簡潔にセクハラおやじに肘鉄を食らわす才女・顔世御前が、七段目では読むのがはかどらないほど文章がダラダラしているなど) メインライター竹田出雲、サブ並木千柳、連作者三好松洛。一緒に作るのではなく、段ごとに担当してるせいかキャラクターに統一性がないと感じられることもある。(たとえば三段目で古今集の歌で簡潔にセクハラおやじに肘鉄を食らわす才女・顔世御前が、七段目では読むのがはかどらないほど文章がダラダラしているなどキャラにブレが…)
 「江戸時代当時の大人の事情」で、ストーリー的には赤穂事件だが 「江戸時代当時の大人の事情」で、ストーリー的には、なんとなく赤穂事件だが、'''ほとんどオリジナルエピソードほっとんどオリジナルエピソード'''で、時代設定や'''キャラクターの名前も全部変えてあるキャラクターの名前も、全部変えてある'''。たとえば、主役の名前は[[大石内蔵助|大星由良之助]]など。
 陰陽が一幕ごとに変わりまして絢爛。すさまじいところもあれば、ところどころカワイイ。シモネタも忘れないという「グロテスクで素朴でユーモアをたたへた悪趣味きはまる(三島由紀夫談w)」実に不思議なエンターテインメント。
 ちなみに市販の歌舞伎のDVD(ちょっぴり字幕が間違ってたりする)には9話ぶんのエピソードだけ、とびとびに収録されていて完全ではありません。それでも全部見ると10時間くらいになる。 ちなみに市販の歌舞伎のDVD(ちょっぴり字幕が間違ってたりする)には9話ぶんのエピソードだけ、とびとびに収録されていて完全ではありません。それでも全部見ると10時間以上(たぶん)になる。
 歌舞伎の興業では通しで上演されることは珍しく、たいがいどれかの段が単品で上演される。二段目、十段目などの上演がまれ。
 ちなみに、タイトルに「忠臣蔵」の三文字が入ってるから、'''この作品が映画やドラマの原作になってると勘違いする人が後を絶たない'''が、ビックリするほど、映画でお馴染みの忠臣蔵劇と関係がない。=「仮名手本」が原作の映像作品は極端に少ない。が、ビックリするほど、映画でお馴染みの忠臣蔵劇と関係がない。=「仮名手本」が原作の映像作品は極端に少ない。(最下段「関連作品」ご参照のこと)
== '''口上人形''' ==
 歌舞伎版「仮名手本」において、いっとう最初に裃姿の人形が登場。 歌舞伎版「仮名手本」において、いっとう最初に裃姿の人形が登場するOverture。
 首を回してエヘンエヘン言いながら主演者の説明をする。わりと悲劇が続く仮名手本なのにめちゃめちゃ愉快。元が人形浄瑠璃だった名残(ちなみに文楽では口上は人間がやる。)。
'''喧嘩場'''(館騒動)(館騒動)(足利殿中松の間の場)
 松の廊下で喧嘩〜刃傷。
三段目裏 '''戸塚道行きの場''' (歌舞伎。日本舞踊) (歌舞伎。日本舞踊)(返し、戸塚山中の場)
 通称「落人」。清元「道行旅路の花聟」
== '''四段目''' ==
「塩冶館の場」。「塩冶館の場」(扇ヶ谷塩冶館)。
'''花献上花献上の場'''(花籠の段)
 上屋敷で事件を知った身内が、弱っちゃってるところ。
'''表門 城明け渡しの場'''(塩谷館表門の場)
 塩冶家の閉ざされた門の外で、由良之助が朝までおり、夜明けに「ある決意」をする。映画やドラマや浪曲もおなじみの「城明け渡し」に該当するシーン。
<附言「日本の喜劇人」(小林信彦・新潮文庫)によると、この「城のほうが下がっていく演出」は、古川緑波による昭和17年の「四十七分忠臣蔵」において、時短のために緑波がアチャラカで考案したものとある。
 どっちが先なのだろう…と思ったら「演技の伝承」(川尻 清潭 著)に、大正〜昭和に活躍した晩年の団十郎(9th)が「大掛かりに丸物の赤門を飾らせ、それをそのまま斜めに後へ引き下げて(略)が評判よく、以来大劇場の上演では(うんぬん)」とあったので、緑波がリスペクトしたものと推測いたします。ごちゃごちゃすいません。>が「大掛かりに丸物の赤門を飾らせ、それをそのまま斜めに後へ引き下げて(略)が評判よく、以来大劇場の上演では(うんぬん)」とあったので、緑波がリスペクトしたものと推測いたします。ごちゃごちゃすいません。  (加筆)大阪でやる時は「三段返し」といって、書き割りを"ページをめくるように"パタパタだんだん遠くなる背景に畳んでいくやり方だとか。>
 なんとなく七段目との因果関係が成立してて、あればあったで気持ちのいいエピソードでございます。歌舞伎&人形浄瑠璃共にDVD未収録
 
(附言)これは「日本戯曲全集5 赤穂義士劇篇」(春陽堂s.03発行)の記述に基づいているが、「仮名手本忠臣蔵解釈と研究」(桜楓社s.49)によれば、これは「裏表忠臣蔵」という、各段の裏に増補したエピソードで、三段目の裏に「蜂の巣の花靭(はなうつぼ)」という名で加えられたとある。
 ライブで見るとイノシシが写真やDVDで見るのより小ぶりに感じてかわいい。舞台をそのまま通過したりグルッと一回りしたり、茂みに引っ込んだりソデに引っ込んだり、ナマイキにいろんなバリエーションがある。
 
 人形浄瑠璃のほうのイノシシは、昔と今とデザインが違うようで、DVDに出てくるのはディティールが細かくリアルでもう一つかわいらしさに欠けるが、昭和時代は小ぶりの小さいふにゃふにゃした、かなりの脱力系でなかなかラブリーであります。
<附言>オンライン上演の「図夢歌舞伎」(2020.7.11)となると、さらにコンプライアンスに気を使い、流血はさらに削られ、血糊を顔につける仕草さえカットされる。
 
 
== '''七段目''' ==
 さてDVDのお軽、女形の中村歌右衛門(6th)さんがご高齢で、妙齢なはずがおばあさんに見えちゃうのがじゃっかんサメた。しかしいろんなお軽を見たがこの人ほど「女性」の線というかデフォルメがすばらしい人はほかに知らない。中村福助さんがご高齢で、「心の目」で見ないことには、妙齢なはずの遊女・お軽がおばあさんに見えちゃうのがじゃっかんサメた。しかしいろんなお軽を見たがこの人ほど「女性」の線というかデフォルメがすばらしい人はほかに知らない。中村福助(9th)のお軽(09顔見世)はその歌右衛門に直接手ほどきを受けてると言うだけに「あ」と思うほど歌右衛門っぽいところがあるが、ひじょうにリーズナブルというか、わかりやすい。なんというか最近の女子のような親近感のあるお軽がいい。ただ演じ方については、「六段目では三段目の腰元の感じで、そして七段目で六段目の世話女房で演じるのがいい」と三代目菊五郎が言ってたとおり、あんまり一力のお勤めが板についてると、六段目で実家とあんなに名残惜しく別れたいきさつとの関連性が怪しくなり哀れさが減る。
 平成20年に白鴎27回忌公演(由良之助=幸四郎(9th)。お軽=芝雀(7th)。平右衛門=染五郎(7th))でライブ見たとき、お軽のひそひそ話を聞くだけ聞いた平右衛門が「こっちの耳は聞こえねえ」と言うなど、小ネタギャグが多かった(<あたしはコレ、ほかで見たことがない。基本的に、お軽と平右衛門の再会シーンはコミカルな滑り出しなので2010年頃はもともとあった「会いたかった会いたかった」という台詞さえAKB48のヒット曲の引用ギャグと捉えられ、クスクス笑う客が少なからず、いた)わりに、ぼろ泣きの出来でした。おかるが不憫で不憫で。歌舞伎のライブって、意識と感情が割と離れてて唐突にワッと泣けてくるんで不思議。理性の方が「あっと、ここで泣くの!?ハイ」て感じでいささかビックリする。歴史が築いた「型」は理屈抜きに日本人のDNAを刺激するようです。
 事件がきっかけで破断になった婚約者=二段目に出てきた小浪と[[戸無瀬|お母さん]]が押しかけ女房しに、幸せな夫婦生活などをあれこれ想像しながら京都山科の大星家へ行く、東海道の道のり。
 富士山を背景に、オープニングで切り出しのむこうに花嫁行列の絵が通るのがチープな感じでかわいく観客の笑いを誘う。(人形では大鳥毛みたいな道具の頭だけしか出てこない。) 富士山を背景に、オープニングで切り出しのむこうに花嫁行列の絵が通るのがチープな感じでかわいく観客の笑いを誘う。(人形では大鳥毛みたいな道具の頭だけしか出てこない。←このときは大名行列。)
 平成20年の中村座で初めて見たが、「原作に忠実」が建前のためか錦絵に見る女馬士おやまや奴角助が出てこなかった。文楽でもこの母子ふたりきりだった。 平成20年の中村座で初めて見たが、「原作に忠実」が建前だったためか、錦絵に見られる"女馬士おやま"や"奴角助"が出てこなかった。
 昭和61年国立劇場開場20周年のとき(中村歌右衛門6th×中村松江5th)のビデオを見たら、うかれた奴(やっこ)の吉平と運平の踊りがあり、その間母子は舞台袖に下がっていた。
 奴の二人はいわば息抜き的な陽気な役割だった。イヤホンガイドによると「江戸の浄瑠璃の清元や常磐津で演じるときや、ほかに女馬子とか伊勢参りの旅人や商人が絡むこともございます」というからいろいろとゲストにバリエーションがあるようであります。(たしか浮世絵にも女馬士おやまとか、イケメンの奴角助なんてのが描かれている)
 
 「忠臣蔵」は踊りが無いから、いろんな点景人物を踊りの名人にたっぷり踊ってもらうコーナーというおもむきもあるらしい。(なので、"踊り""ゲスト"という要素から、人形浄瑠璃ではそもそも登場しない)
 踊りがいいんで、清元「おかげ参り」という独立した踊りにもなってるとか。 踊りがいいんで、清元「おかげ参り」という独立した踊りにもなっている。NHK総合でときどきかかる。  2025年1月、新橋演舞場で市川團十郎のワンマンショー「双仮名手本三升」(ならべがき まねて みます)で、ぼたんさんと新之助さん(13歳と11歳)が踊ってシビレた💕。
 また、09年12月にラジオにうかがった際、義太夫の豊竹咲大夫先生から「顔世、お軽、戸無瀬…とにかく仮名手本の女子ばかりを集めて法要する滑稽浄瑠璃 忠臣蔵九半目というのがある」とうかがった。
 本サイトの[[早野勘平]]の記述における五段目の「五段目で運のいいのはシシばかり」というのはこの中の坊主の念仏の文句にあるようであります。の記述における五段目の「五段目で運のいいのはシシばかり(「五段目で儲けたやつはシシばかり」とも)というのはこの中の坊主の念仏の文句にあるようであります。
 討ち入りのための武器調達をした豪商、[[天野屋利兵衛|天河屋(天川屋)義平]]のはなし。
 義平の忠義を試すために浪士がいろいろ詰問するが、義平は口を割らない。あたしが見たのはCSで放送された1959年2月歌舞伎座の中村吉右衛門劇団、市川猿之助一座、中村時蔵参加による「忠臣蔵」通し上演。昭和61年、国立劇場開場20周年のときの全段通し。〜以上の録画。近年ではこれらと2009〜2010大阪の新春大歌舞伎。平成28年国立劇場会場50周年記念でしか上演されていない。 義平の忠義を試すために浪士がいろいろ詰問するが、義平は口を割らない。  上演が少なく、あたしが見たのはCSで放送された1959年2月歌舞伎座の中村吉右衛門劇団、市川猿之助一座、中村時蔵参加による「忠臣蔵」通し上演。昭和61年、国立劇場開場20周年のときの全段通し。〜以上の録画。近年では2009〜2010大阪の新春大歌舞伎。平成28年国立劇場会場50周年記念。令和5年3月大歌舞伎。
 前後があってこそ引き立つ段だから、単独じゃ客入りが見込めないんで上演回数が少ないのかと思ってたが、ものの本で加賀山直三氏が「この一段はつまらない。愚作」と一蹴。 前後があってこそ引き立つ段だから、単独じゃ客入りが見込めないんで上演回数が少ないのかと思ってたが、ものの本で加賀山直三氏が「この一段はつまらない。愚作」と一蹴。くわえて「季刊雑誌 歌舞伎」では、幕末以降、徒党を組むとか武器の密造というネタ自体が上演の遠慮を産んだんじゃないかと坂東三津五郎(9th)は言っている。  義平の侠気はかっこいいし、ハッピーエンディングだし個人的には大好きだが、たしかに九段目までの貫禄の由良助が、「みんながそんなに言うなら、気持ちを試してみるかぁ」というコンセプトでつづら(長持ち)の中に潜んで義平にドッキリをしかけるという趣向はなかなか「浮いてる」かも。人を試して結局謝るという、かっこわるいかんじだし。七段目の孔明的なキャラがブレる。ちなみに国立劇場開場20周年ではつづらから出てこないで後ろの戸を開けて出てきた。  令和5年3月大歌舞伎のときは、単独で十段目のみがかかった。中村芝翫(8th)が天川屋で、幸四郎(10th)が由良之助だったが、長持ちから出てくるバージョンだったにも関わらず、有り様や間合い、タイミングなど細心の注意を払って演出を心がけているように見え、滑稽にはなっていなかった。
 義平の侠気はかっこいいし、ハッピーエンドだし個人的には大好きだが、たしかに九段目までの貫禄の由良助が、「みんながそんなに言うなら、気持ちを試してみるかぁ」というコンセプトでつづら(長持ち)の中に潜んで義平にドッキリをしかけるという趣向はなかなか「浮いてる」かも。人を試して結局謝るという、かっこわるいかんじだし。七段目の孔明的なキャラがブレる。ちなみに国立劇場開場20周年ではつづらから出てこないで後ろの戸を開けて出てきた。
 そのほかにも離縁した天河屋夫婦の復縁まで世話をするなど、討ち入り直前にしては手の込んだ「よけいなこと」をしすぎで(おかげで上演時間が長い)、たしかに異色作。
 上演の機会が少ない(=不人気な)二段目とこの十段目は、どっちも連作者・三好松洛の作ではないかと森 修先生は言っている。
 
 
 令和5年版のように、「通し」とは切り離したほうがかえって引き立つかもしれない。
 
(天川屋見世の場)歌舞伎DVD未収録。
 つかみ合いとか雪の投げ合いとかが逆に新鮮。歌舞伎って池とかに落ちた人が這い上がってきた時の演出がかわいい。
 この一騎打ちは「二十四時忠臣蔵」(じゅうにとき ちゅうしんぐら)という別の作品の討ち入りを持ってきてのアレンジらしいが、最近はスタンダードになってる印象。 この一騎打ちは「[[二十四時忠臣蔵|十二時忠臣蔵]]」(じゅうにとき ちゅうしんぐら)という別の作品の討ち入りを持ってきてのアレンジらしいが、最近はそれがスタンダードになってる印象。
'''焼香の場'''(光明寺焼香の段)
 ちなみにチャンバラのあと殿の墓前のシーンもある。
== 関連作品 ==
* [[大忠臣蔵]](松竹)映画版・仮名手本忠臣蔵 」(松竹)映画版・仮名手本忠臣蔵 1957 * 「[[假名手本忠臣蔵’61/義士始末記’62|假名手本忠臣蔵]]」(松竹)上記作品の増補改訂版 1961 * 「[[蜷川幸雄の仮名手本忠臣蔵]]」 蜷川幸雄の翻案 1988 * 「[[KANADEHON忠臣蔵]]」(花組芝居)ほぼまんまで面白くした版 2007
* [[假名手本忠臣蔵’61/義士始末記’62|假名手本忠臣蔵Revenge of the 47 Loyal Samurai]](松竹)上記作品の増補改訂版 1961」 (ポートランド州立大学)ほぼまんまで英語にした版 2016

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