大忠臣蔵(NET)

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作品概要
制作会社 NET
公開年度 1971年
内蔵助役 三船敏郎
評価 5ツ星
役者絵:三船敏郎
役者絵:渡哲也

やさしい昼行灯がいざというとき豹変するイメージの大石内蔵助を、いつも臨戦態勢みたいな三船がどう演じるのかさっぱりイメージがわかなかった。ミフネに「家臣」「家来」という役は想像しにくい。

ところがどうしてどうして。腹の底に何かをグッと飲み込んで目的に向かって一直線の剛直な家老、ミフネ内蔵助が意外にもいい感じに仕上がっているのでした。

「椿三十郎」にはお城勤めは無理っぽいが、「隠し砦の三悪人」の真壁六郎太や「風林火山」の山本勘助をイメージするとすんなり行く。そういう内蔵助(はあと)。


刃傷沙汰のきっかけは「塩づくりの秘法」を浅野から教えてもらえなかった吉良のイジメのエスカレート。ハラハラする松の廊下のシークエンスが見事。市川中車の吉良上野介は自然に「こんなくそじじい、死んじまえばいいのに」と思わせてくれる、イイ出来。

秘法を命がけで守ってただけに「お家断絶、領地没収」という裁決が見ていてショッキング。


ストーリーが進んでも中だるみもかなり少ない。

1年をかけての連ドラとなると、どういう架空エピソードで「もたすか」が課題になってきて、NHKだとメロドラマなどを合間に入れてくる。この「民放初の大河ドラマ」(<という言い方をしてるのを読んだが、)はチャンバラざんまいという作戦に打って出た。

「東軍流の剣の使い手」という部分を膨らませたミフネ内蔵助を頭にいただくことにより、自然に浪士たちも全員腕っ節がよいというながれになって、なにかと言うとすぐ斬り合いになるのも本作の特徴。架空の間者やシタッパ侍が登場しては斬り殺され、最終回までに相当な人死にが出ます。

あと、めずらしく講談などの架空エピソードも(いささかのアレンジがあるものの)いちいちしっかり映像化している。実際の赤穂事件のいきさつに、後年にあとからあとから作られたいろんな銘々伝、外伝を、つじつまを合わせてドラマのエピソードに盛り込んでおり、腐心の後がうかがえる。NHKの大河みたいに原作ありき(でもないか)じゃないぶん縛りが無いのかも。(あとで読んだ「実録テレビ時代劇」能村庸一著によると、原作使わない&おなじみエピソードは全部盛り込む…は企画立ち上げ当初の条件だったそうである)


最も注目すべきは、出演陣の豪華さ。五社協定の垣根を越え「こんな人も出てるのか」とおどろくような顔ぶれなのがとにかく楽しい。。

おそらく史上最高の贅沢な顔合わせではないだろうか。たとえば東映「赤穂浪士」の萬屋錦之助の脇坂淡路守と東宝「忠臣蔵 花の巻雪の巻」の市川中車の吉良上野介が(それぞれその役で)同じ画面で拝めるんだヨお立ち会い。

世代的にうれしかったのは、武器調達のかどで拷問にあってる天野屋利兵衛を釈放する粋(イキ)な大阪のお奉行さんを中村梅之助が特出で演じてるとこ。彼は当時江戸町奉行「遠山の金さん捕物帳」放送中で大人気だったのだ!このサービスには当時のお茶の間はさぞ喜んだことでしょう。(さらに付け加えると天野屋を演じた前進座のスター・中村翫右衛門は梅之助のお父さん。…まさかと思って天野屋と一緒に石を抱かされる子役を確認したが中村梅雀ではないようだw)

10話に1回くらいのペースで当時人気のお笑い芸人が登場するのもニクい。配役が民放っぽいとでも申しましょうか。


気がかりだったのは、調子に乗っていろんな人たちを浪士として豪華にキャスティングしたのはいいが、肝心な討ち入りの時にこのそうそうたる顔ぶれが一堂に会せるのか?ってコト。そしたら案の定、伴淳三郎はじめフランキー堺など何人もの大事なメンバーが討ち入りのときに不在!しょぼーん。制作費10億円でも全員集合は無理だったかぁ〜。


あと、女性の撮り方は今ひとつ美しくない。だもんで瑤泉院より畳屋の女房の玉川スミのほうが生き生きしてたりする。基本的に野郎を撮る方が得意なスタッフの汗臭い作品。


音楽良いです。いさましいけど、どっかさみしい。ぱっと頭に浮かぶ「忠臣蔵」の音楽と言えば、コレです。

ノンケの人が見てもすぐ引き込まれるという作風ではなく、あくまで昭和の時代劇ファン、三船ファン向けといったところ。